ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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元国際交流基金 吾郷 俊樹1はじめに7月12日、パリ北東のパンタンにあるラ・ヴィレット(1980年代から2000年代にかけて文化大臣、教育大臣を歴任したジャック・ラングが設立構想に携わった科学と文化をテーマにした施設。)にて。日仏友好160年を記念する「ジャポニスム2018:響きあう魂」の開会式が、直前に西日本地区で発生した未曾有の水害への対応から急遽訪仏を取りやめた安倍総理に代わって河野外務大臣、マクロン大統領に代わってニッセン文化大臣出席の下、盛大に挙行され、7月から2019年2月までにわたる大規模な日本文化紹介行事がいよいよスタートした。(ジャポニスム2018開会式 外務省ホームページ (https://www.mofa.go.jp/mofaj/page4_004204.html))「ジャポニスム2018」開催にあたり、マクロン仏大統領からのメッセージは、「日本は世界に輝く芸術・文化を有しています。日本文化はフランスの最も著名な前衛芸術家たちに多大の影響を与えましたが、我々の社会が大きく変化した今日においても、日本の創造的な芸術家たちは新たな世代の熱狂を喚起しています。常に新しいものを追及するフランスの大衆と芸術家は、現代日本を発想と革新の持続的な源泉とみています。『ジャポニスム2018』の企画は、こうした日仏間の相互交流の成果でもあります。歌舞伎から藤田嗣治の絵画まで、また、三番叟や安藤忠雄の建築を含め、あらゆる日本の創造性の豊かさが、フランスで最も権威ある文化施設で紹介されるでしょう。フランスは「ジャポニスム2018」という冒険に一緒に取組み、この事業の成功を保証するために自らのノウハウの卓越性を分かち合いたいと考えました。日本のアート・シーンの豊かさと多様性をフランスの観客と分かち合うために、『ジャポニスム2018』の事業を受け入れてくれたパリ及び地方の全ての文化施設に対し感謝の意を表します。」(ジャポニスム2018公式サイト マクロン大統領メッセージより)地元ル・モンド紙は歌舞伎と初音ミクのコラボのステージのカラー写真入りの別冊の1面で、「パリ、日本文化のショーウィンドー」として、以下のように報じる。「2018年7月から2019年2月まで、フランスで「ジャポニスム2018」が開催される。「ジャポニスム2018」は、日本が海外で開催する文化行事として最も大きな規模のイベントの1つとなる。外交官として40年以上のキャリアをもち駐イタリア大使などを務めた安藤裕康国際交流基金理事長は、『今年は、日本の文化に触れたければ、パリに行きなさい』と話していると明かした。東京五輪開催を2年後に控え、日本の文化を様々な方向から紹介し、とくに人々の関心を惹き付けることが「ジャポニスム2018」開催の目的だ。…安倍総理自らが、日仏友好160周年を記念して、このイベント開催を発案し決定した。今年はまた、明治150周年にもあたる。安倍総理はジャポニスム2018年の開会式にマクロン大統領と出席するため12日にパリを訪れる。翌13日は日仏首脳会談が行われる。…」日仏友好160周年を迎えた 文化交流(上)~19世紀の「ジャポニスム」から「ジャポニスム2018」まで~36 ファイナンス 2018 Oct.SPOT

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