ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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きています。「マルチステージ」では、ずっと健康で、学び遊んで、ずっと地域に関わることになります。「100年ライフ」では、定年はないようなものであり、働き方や暮らし方が変わってきます。人生が100年あると思うと、毎月入ってきたお金を全部使うわけにはいきませんよね。保険に関していえば、自分に、もしもの事があったらいけないと思って生命保険に入りますが、自分が長生きすれば要らなくなることもあるだろうし、子どもが独立すれば不要になります。こう考えると、ずっと同じ金額の保険料である必要はなく、保険料が低減していく種類の保険も「100年ライフ」に向いているといえます。一度、ライフステージごとにそのときの優先順位がどうなっているか、どう生きたいか、例えば10年刻みで、ライフイベント表を作ってみると良いと思います。そこに自分のライフイベントだけではなく、家族のライフイベントも一緒に入れておくと、毎年いくらかかるのかが予測できます。そうすると、例えば車の買替えなど出費するタイミングをずらすことができるものとそうでないものが分かってきます。前もって大きな出費があるタイミングが分かれば、他の変更可能な類の出費をずらすことができます。このライフイベント表があれば、夫婦間のお互いのキャリアや子どもの教育など、今どのステージにいて、今後どのようなタイミングでどのような出費があるか分かりやすいです。また、支払っている金利を見直すことも大事です。貯めながら増やすのが良いでしょう。NISAやiDeCo(イデコ)を活用しましょう。家計における各種ローンは、変動金利にしている人が多いと思います。そういう方は、金利が上がり始めたら固定に変えるつもりでいるかと思いますが、それだけで安心できません。すなわち変動金利だけを見ないでください、ということです。借換え先は長期の固定金利なので、その固定金利もしっかりと確認しましょう。変動金利が上がったときには、固定金利も上がっているので、借換えのタイミングを逃してしまうことになります。毎日でなくても良いですが、時折確認するようにしましょう。また、ライフステージにおける受益と負担でいうと、子どものころは負担が少なく、現役世代のときは負担が多いですが、自分で支払うことができています。その後、50歳代くらいから負担がより厳しくなります。そういうことが予め分かっていれば、今、皆さんがもらっているであろう児童手当は貯金しておくといいです。すべて貯金すると、200万くらいになるので、おおよそ大学1年分の学費に相当します。また、子どもの教育費にはお金を貯めるけれど、ご自身の老後になかなか目が向かない人が多いです。定年後に稼ぎが少ない仕事をする場合でも、貯金や投資信託など貯めていたものを増やすなど運用していくと良いでしょう。増やしながら、必要なときに使えるようにすれば、介護資金としても使えるので安心です。さらに、アプリで家計簿をつけるのも一つの手です。夫婦で共有し、「家計は一つ」の家計簿が望ましいです。何か知られたくない出費があるのであれば、部分的に共有するのもありですね。家は買ったほうが良い? 借りたほうが良い? という質問をよく受けることがあります。その答えは一言でいうと「変わらない」ということです。ただ、それぞれ居住するにあたってのメリット・デメリットはあります。例えば、マンションだと騒音が気になるからという理由だけで戸建てに3,000万も出すことができるでしょうか。広い庭で子どもを遊ばせたいということなら、広い公園の近くの賃貸マンションはいかがでしょうか。選択するときに、どうしても一つの条件に目が行きがちですが、子どもが家からいなくなるのはあと何年後になるのか、など併せて考えてみると良いでしょう。今後、「100年ライフ」となると、持家が逆転しそうですが、長く住むことでその分リフォームも必要になってくるので、結局は同じかもしれませんね。まとめに入りますが、20歳代から30歳代の頃から老後のための資金を貯めながら増やすと良いです。とある証券会社のリサーチでは、老後の対策をしていない人が一番多いとの結果が分かっています。100年生きようと思うと自ずと60歳以降のお金が必要となってくるので、少なくとも30歳代くらいからそのための資金を ファイナンス 2018 Oct.23ファザーリング全国フォーラムinひろしま に参加SPOT

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