ファイナンス 2018年10月号 Vol.54 No.7
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理(金融担当)との面会がそれぞれ行われました。麻生副総理と両副総理との面会はいずれも初めてのことです。面会では、最近の経済・市場の動向や日中両国の経済政策等について意見交換が行われ、貿易問題については、保護主義的な措置による内向き政策はどの国の利益にもならないことを確認すると共に、本年5月の日中首脳会談での日中金融協力に関する合意事項の実施に向けた作業を速やかに進めることで意見が一致しました。また、麻生副総理からは、中国の財政・金融政策、途上国における公的債務問題等に言及し、先方と問題意識を共有しました。それぞれ1時間程度の短い時間ではありましたが、日中平和友好条約締結40周年の節目の年において、両国関係の一層の発展の観点から、極めて有意義な面会となりました。(2) 全体会合(オープニングセッション、 マクロ経済)8月31日の日中財務対話では、最初に、麻生副総理兼財務大臣と劉昆財政部長の共同議長の下、全体会合として、オープニングセッション及びマクロ経済に関する意見交換が行われました。劉部長からは、中国経済について、これまで進めてきた構造改革の成果に重点を置いた説明があり、麻生大臣は、過去30年の日本経済を振り返った上で、アベノミクスの成果や日本経済の現状について説明しました。続いて、両国の幹部による、両国の財政・金融政策等の説明が行われ、その後、活発な意見交換が行われました。(3)財政分科会・金融協力分科会マクロ経済に関する全体会合の後、岡本次官及び鄒副部長が共同議長を務める財政分科会と、浅川財務官及び劉副部長が共同議長を務める金融協力分科会に分かれ、意見交換が行われました。財政分科会では、共同議長のほか、両国財政当局の担当局長等が参加し、日本の財政の現状と課題、中国の予算制度改革、両国の税制改革・公的債務管理等について議論が行われました。金融協力分科会では、共同議長のほか、両国財政当局の担当局長、金融監督当局幹部、及び中央銀行幹部等が参加し、日中金融協力、金融市場や金融監督の分野での協力等について議論が行われました。(4)全体会合(多国間の枠組での協力)分科会の後、再度全体会合に移り、麻生大臣と劉部長の共同議長の下、G20やASEAN+3、多国間開発銀行(MDBs)といった多国間の枠組での協力について意見交換が行われました。冒頭、麻生大臣から、日本がG20議長国、中国がASEAN+3の共同議長国となる2019年において、両枠組を実り多いものとするために両国が相互に協力することの重要性を強調する発言がありました。続いて、鄒副部長から、来年のASEAN+3財務プロセスにおける共同議長としての重点分野について、浅川財務官から、来年のG20財務トラックの議長としてのプライオリティについて、それぞれ、現時点での考え方が紹介されました。また、MDBsが、貧困削減や開発の促進のために如何なる役割を果たすべきかについて意見交換が行われました。(5)全体会合(総括セッション)最後に、麻生大臣と劉部長の共同議長の下、全体会合の総括セッションが行われました。総括セッションにおいては、まず、両国担当幹部が、両国財政当局が共同研究を行ってきた成果として作成した日中両国の年金制度に関するレポートの概要について報告しました。劉鶴副総理と対談する麻生副総理 ファイナンス 2018 Oct.11第7回日中財務対話についてSPOT

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