ファイナンス 2018年9月号 Vol.54 No.6
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デジタルはかりを差し上げるんです。これは、生鮮野菜など価格が変動するものは、支出金額だけでは消費量が捉えられないことや、支出金額を購入量で割ることによって、平均購入価格、すなわち高級志向・低価格志向といった質的充足度を測る尺度になる観点からお願いしているものです。白米、まぐろ、キャベツ、りんご、茶葉といった食料品が対象になります。依頼にあたっては、誰が依頼されたかを保秘する必要があるため、依頼世帯が隣接している場合訪問日時をずらすなどの配慮をしているそうです。引き受けて頂くための苦労も乗り越え、本調査(表のエ)に入ります。調査開始後まもなく、正しく記入されているか、不明な点はないか等様子を聞くのがポイントだそうです。月2回、半月分の家計簿(約50ページ)の回収を行い、不明な点を確認の上、県、そして国へと情報が集約されていきます。5分ずれると苦情につながることがあり、約束の時間どおりに訪問することも大切とのこと。世帯側から宗教の勧誘等がある場合もあり、気分を害さないような対応を行っているそうです。なぜ調査員を続けるの?日本の経済政策の基盤の一翼を担っているから、という理由ではありませんでしたが、世帯に調査を引き受けてもらったときの喜び、丁寧に調査協力してくれたときの喜び、調査終了時に寂しいですといった手紙を受け取ったときの喜び、という世帯とのやりとりで生まれる喜びを糧に続けてくださっている調査員が多いと感じました。家計調査では、電子マネー等への対応で平成30年1月から新しい様式の家計簿が導入され、オンライン家計簿も平成30年7月以降全国展開が始まっています。消費動向をより的確に把握する手法の検討やその実現はもちろん行う必要がありますが、今回の聞き取りから、詳細な家計簿をつけている世帯と調査員への感謝の気持ちでいっぱいになりました。写真:家計調査道具の一つ「はかり」表:家計調査における調査の流れの例平成29年平成30年平成31年10月11月12月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月調査員01調査区ア 調査区内挨拶ウ 調査依頼イ 名簿作成エ 本調査ウ 調査依頼イ 名簿補正エ 本調査02調査区ア 調査区内挨拶ウ 調査依頼イ 名簿作成エ 本調査ウ 調査依頼イ 名簿補正エ 本調査 ファイナンス 2018 Sep.73ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?連 載 ■ ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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