ファイナンス 2018年9月号 Vol.54 No.6
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なかご【赤坂見附・赤坂】赤坂に大型店舗が誕生。 レア度が高い豚清湯ラーメンを引っ提げ、堂々勝負!ロケーションは、メトロ千代田線赤坂駅と同銀座線赤坂見附駅の中間地点付近。真夜中まで飲食店の灯りが路面を照らす「赤坂みすじ通り」。その中心部に位置する同店は、土地柄に合わせ、酒類や摘まみもしっかりと用意。オープンしてから日が浅いにもかかわらず、既に夜の部は、「飲めるラーメン店」として、食べ手に憩いの場を提供している。同店のオープン日は、7月11日。最近、ラーメン的に目立つ動きが見られなかった赤坂界隈においては、久方ぶりに誕生する新店となる。店の名は『なかご』。ご存知の方もいらっしゃるかとは思うが、「なかご」とは、刀剣類の柄(つか)に被われた部分のこと。「外から見えないところにも魂を込める刀鍛冶の精神は、料理との向き合い方にも通ずるところがある」との考えの下、その言葉を屋号に採用した。現在、『なかご』が提供する麺メニューは6種類。「純粋豚そば」の醤油・塩・のどくろと、それぞれの叉焼トッピング版だ。メニューリストの筆頭を飾る基本メニューは「醤油」。初訪問時には、そちらを注文すれば間違いないだろう。「純粋豚そば」は、スープを濁らせることなく豚から出汁を採る、いわゆる「豚清湯ラーメン」というジャンルに属する1杯。豚清湯ラーメンは「豚骨や豚肉を炊き上げるだけ」という、この上なくシンプルな製作工程から、全国各地においては、主に創業数十年クラスの老舗が好んで提供しているものだ。その一方で、最近オープンした店で豚清湯ラーメンを手掛けようとする店舗は、私が知る限り皆無に近い。若者人口が多くスープが濁った濃厚系ラーメンが支持されがちな、赤坂のようなエリアなら尚更だ。このような状況であるがゆえに、大多数の読者の皆様方は、『なかご』の1杯を、激レアな存在だと感じることになるだろう。同店のスープは、豚肉でなく豚骨のみを使用。品質が良い骨のみを厳選し、一気に炊き上げる。出汁採りの際には、豚特有の臭みの除去に全力を注ぎ込む。これらの的確な仕事ぶりによって過不足なく抽出された豚の上品な甘みと重厚なコクが、食べ手を魅了する良作だ。このスープに合わせる麺は、名門『三河屋製麺』の細ストレート。やや硬めに茹で上げることで、動物系素材を用いたラーメンにありがちな野暮ったさを感じさせない、スタイリッシュな味わいを構築することに成功している。「時間を気にせず、ゆっくりと食事を召し上がってもらいたい」との配慮から、夜営業時には、原則としてテーブル席に他の客を相席させないなど、細やかな配慮も光る。ランチタイムに足を運ぶのも良いが、同店の真価は夜営業時にこそ発揮される。「赤坂でお酒を飲みながらラーメンを」といったシチュエーションで、無双の働きを演ずる心強い1軒だ。(店舗情報)住所:港区赤坂3-16-3 伊勢幸ビル1F電話番号:―(なし)営業時間:11:30~16:00、18:00~23:00(LO:22:30)定休日:日曜プロフィールラーメン探究家 かずあっきぃ(田中 一明)1972年11月生まれ。学生時代に出逢った1杯のラーメンに感銘を受け、1995年より本格的な食べ歩きに着手。「ラーメンの魅力の探究」をライフワークとし、年間700杯以上のラーメンをコンスタントに実食。総食杯数は12,000杯を超える。日本全国のラーメン事情に通暁し、各種媒体にラーメン情報を精力的に発信。 ファイナンス 2018 Sep.63かずあっきぃのラーメン探訪記連 載 ■ かずあっきぃのラーメン探訪記

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