ファイナンス 2018年9月号 Vol.54 No.6
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3平成30年度(2018年度)予算 (参考:図4)図4中、参考にあるように、好調な沖縄経済を背景に、県内総融資残高は、5兆円を超え、増加基調で推移している。そのような中、沖縄公庫の30年度(2018年度)事業計画は、出融資合計1705億円の事業規模を確保している。これは13年ぶりの事業規模となっている。融資制度においては、人材育成に主眼を置き、充実を図ったところである。すなわち、従業員の人材育成に積極的な企業や専門学校の施設整備に対する金融支援の拡充が認められた。とくに、離島においては金利面の更なる優遇も認められた。4沖縄経済の長期トレンド(1)景況・雇用(参照:図5)最近の沖縄経済は、企業の景況感や雇用の状況をみても、本土復帰以降最高の水準にあると言える状況だ。特に、現行の振興計画に入り、改善が顕著である。全国との比較でみても「異次元」と考えられる。一方で、小規模企業では景況感が行き渡っていないという声があるほか、雇用関係では改善が顕著であるが、都市部のみならず離島地域でも人手不足が課題として上がるようになっている。沖縄公庫としては、このような課題に対応すべく、新たな制度、予算を活用して、生産性向上や人材育成に取り組むこととしている。(2)観光(参照:図6)沖縄県経済のけん引役である観光分野においては、長期トレンドでみると、折れ線で示される入域観光客数は増加基調で推移してきた。特に、リーマンショック以降の改善、増進が顕著である。また、棒グラフで示される宿泊施設・部屋数も増え、観光客の受け皿の整備も順調に推移してきている。沖縄県内の総客室〈ホテル・旅館〉に占める、沖縄公庫が関与した部屋数の割合は72%に上る。いまや、政府の経済政策の中でも、観光の重要度は増しているが、沖縄における重要度は死活的だと考えられる。この観光をはじめ、沖縄経済のリーディング産業の育成支援は、引き続き公庫における重要な活動領域といえよう。図4 平成30年度予算~民間主導の自立型経済の発展に向けて~○制度の創設・拡充○事業計画資金別平成28年度事業実績平成29年度当初計画平成30年度当初計画①貸付1,534437234537547156531,5271,54451419405060906856001,5251,70551015405060807107501,690産業開発資金中小企業等資金住宅資金農林漁業資金医療資金生活衛生資金②出資企業等に対する出資新事業創出促進出資合計以下の三点に重点を置き、29年度当初計画比161億円増の1,705億円①人材育成②世界水準の観光リゾート地の形成促進③中小企業・小規模事業者の経営基盤強化・県内総融資残高:増加基調、地銀・第二地銀が牽引!(沖縄公庫:H29年度末シェア16%強。減少基調)沖縄県内融資残高構成の推移4,20220,50429,48143,06249,37847,61843,46943,02943,64845,43347,28749,32052,65135,85133,74331,96430,60628,43227,23225,12324,23324,18023,11716,14010,1022,8058,4918,1998,0578,1528,1768,94011,67116,00216,97512,3528,3216,888606010,00020,00030,00040,00050,000S47S57S62H4H9H14H19H24H25H26H27H28H29(年度末)(単位:億円)その他地銀・第二地銀沖縄公庫県経済の拡大を背景に13年振りの水準~事業資金が拡大~テーマは人材育成①沖縄人材育成促進貸付利率特例制度の創設②「沖縄自立型経済発展貸付」の貸付条件の拡充沖縄における産業の発展を担う人材の育成を促進従業員のスキルアップ・キャリア形成に積極的に取り組んでいる事業者を支援(参考)56 ファイナンス 2018 Sep.SPOT

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