ファイナンス 2018年9月号 Vol.54 No.6
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達成するため、同法第19条及び第21条の規定により、本土における株式会社日本政策金融公庫、独立行政法人住宅金融支援機構及び独立行政法人福祉医療機構(社会福祉貸付を除く。)が行っている業務に相当する業務を一元的に行っている。(参照:図1 業務内容)また、そのほかに、沖縄振興特別措置法において政府の資金支援を規定している施策に基づく制度、及び法律に規定されてはいないもので政府や沖縄県の振興施策、構想等を資金面から支援するための制度(以下「沖縄公庫独自制度」という。)を有している。(参照:図2 沖縄公庫の出融資体系*5)(6)融資規模など平成30年(2018年)3月末の貸付残高は、8491億円である。また、企業に対する出資の残高は、51億円、新事業創出促進出資の残高は、19億円である。(7)本支店那覇市に所在する本店のほか、東京本部(港区)、中部支店(沖縄市)、北部支店(名護市)、宮古支店(宮古島市)、八重山支店(石垣市)がある。*5) このうち、新事業創出促進出資業務は、沖縄振興特別措置法第73条及び第74条において、沖縄公庫の業務の特例として平成14年度(2002年度)から設けられたもので、沖縄において新たに事業を開始しようとする者、事業を開始した日以後5年を経過していない者及び事業の多角化(分社化を含む。)を行う者に対して出資を行うことができる。2沖縄振興策の“車の両輪”(参照:図3)沖縄の振興開発は、本土復帰以降、インフラ整備を中心とした「本土との格差是正」から、沖縄の独自性や強みを活かした「民間主導の自立型経済の構築・発展」を基本方向とした政策の転換が図られている。公庫の昭和47年(1972年)の設立以来平成29年度(2017年度)までの出融資累計は、6兆4288億円となっている。振興計画等の施策と連動し、民間投資によるインフラ整備、特区制度、ベンチャー、離島、特産品等の産業振興から、最近では社会政策的分野までの多様なニーズに対応している。政府の沖縄担当部局予算(平成29年度(2017年度)までで12兆1407億円)と併せ、「車の両輪」として沖縄振興を推進している。国の厳しい財政事情や、沖縄経済が自立していく方向性に鑑みれば、金融的な手法による支援策である政策金融の役割は、今後ますます重要かつ有効なものとなっていくものと思われる。図1 業務内容沖縄振興開発金融公庫(融資業務)医療資金住宅資金農林漁業資金産業開発資金中小企業資金恩給担保資金教育資金生業資金生活衛生資金独立行政法人福祉医療機構独立行政法人住宅金融支援機構沖縄本土中小企業事業国民生活事業株式会社日本政策金融公庫農林水産事業54 ファイナンス 2018 Sep.SPOT

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