ファイナンス 2018年9月号 Vol.54 No.6
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や民宿数が半減したこと、従来あった野蒜海岸海水浴場がまだ復旧していないこと等、観光分野での復旧が途上にあり早期の回復が望まれます。3 東松島市における取組み(1)人口減少対策地方創生人材派遣制度を活用し、シティマネージャーとして財務省から派遣されていた前任(現大臣官房総合政策課 福留課長補佐)の主導により、東松島市では積極的に地方創生各種制度を活用しています。「東松島市人口ビジョン・総合戦略」に基づき5つの地域再生計画を策定し、地方創生推進交付金等や地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を活用して市の抱える課題に対して様々な取組みを進めています。例えば、観光分野では近隣の石巻市・女川町と共同でDMOを設立し、圏域として観光振興に力を入れています。また、移住定住促進のために、空き家等利活用計画を策定するとともに、復興の段階から参加頂いている地域おこし協力隊の方々(現在12名)が定着し、更には持続的な定住へつながる流れを検討しています。他にも、市内にある地域金融機関等と連携協定を締結し、市内での起業を促すための各種取組みの共同実施が可能か協議を進めています。(2)SDGs未来都市2011年末から東松島市は「環境未来都市」として、震災後に始まった地域新電力事業やスマート防災エコタウン事業等を進めてきました。そして2018年6月15日、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた優れた取組みをする自治体として、東松島市は「SDGs未来都市」に選定されました。全国で29都市が選ばれる中、東日本大震災の被災地として唯一選ばれました。東北地方でも3都市しか選ばれていないため、今後SDGsの取組みとして始める事業が、他の東北地方や東日本大震災の被災地へも横展開できる事例を生み出していければと考えています。当然、行政のみで達成できる目標ではないため、震災後にご縁ができた全国の企業の力も借りられるような仕組み作りについて、目下模索しているところです。(3) 東京オリンピック・パラリンピック競技大会「復興の火」2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の際に、ギリシャから聖火が日本に最初に到着する場所が、東松島市の「松島基地」となる見込みです。この聖火は「復興の火」として東日本大震災の被災3県に2日ずつ展示され、その後聖火リレーのスタート地点へ移されます。国内最初の聖火到着地として、今後関係各所との準備を進めていきます。(4)復興の加速地方創生担当として、現在は間接的に復興事業の推進に向けた取組みをしています。具体的には、地方創生推進交付金を使った被災元地を活用した事業の検討や、復興期間終了後を見越した行財政改革の検討等を現在市役所内部で進めています。4 今後の展開東松島市はまだ東日本大震災からの復興途上にあり、市民・職員が一丸となって復興の完結を目指し日々職務に励んでいます。復興期間の終了まで残り2年半となり、復興の課題と復興期間後の課題も明らかになってきています。まずはこれらの課題に正面から取り組む必要があるとともに、地方創生担当・国からの派遣職員として、復興期間を終えても持続的に東松島市が発展していけるよう、関係機関の力も借りつつ知恵を出していきたいと思います。その際、SDGs未来都市や東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の機会を上手く活用できればと考えています。そして、全力で残りの任期を全うしたいと思います。▲イートくん&イ~ナちゃんSDGs版50 ファイナンス 2018 Sep.

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