ファイナンス 2018年9月号 Vol.54 No.6
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6国際課税国際課税のセッションでは、麻生大臣からは、まずG20が政治的機運の維持に引き続き大きな役割を果たすべきであること、また、電子経済に対する課税上の課題に関し、2020年までに長期的解決策を求めることとされており、時間も限られていることから対象を絞って検討を進めることが有用であることが主張された。税の透明性に関しては、非協力的法域を特定するための基準の強化について、新基準に基づくリスト作成プロセスを通じて各国における税の透明性向上の取組みを促すことが重要である旨、発言した。7金融包摂及びテロ資金供与対策金融包摂及びテロ資金供与対策のセッションでは、麻生大臣がリードスピーカーを務めた。金融包摂に関しては、麻生大臣から、経済成長、金融の安定性、格差の縮小のため、G20が取り組むべき重要な課題であり、G20の専門家グループであるGPFIが取りまとめたデジタル技術を用いた金融包摂に関する報告書を支持する旨の発言を行った。また、GPFIは高齢者を金融包摂が必要な対象としており、我が国における課題を紹介するとともに、今後この点に関して議論を深めていくことへの期待を表明、同時にGPFIがG20の優先課題や主要テーマに即した議論を効率的・効果的に行うため、組織の整理、合理化を行うことを支持する旨の発言を行った。会議では、「持続可能な資金の動員及び金融包摂の強化は、世界の成長にとって重要であること」が確認された。また、「金融包摂のためのグローバル・パートナーシップ(GPFI)を通じ、金融包摂の向上に重要な進展が見られてきたものの、GPFIが経済成長、金融の安定及び格差の縮小を引き続き支えていくため、その作業計画及び体制を合理化することを求める」ことが合意された。テロ資金供与対策に関しては、麻生大臣から、4月にフランスが主催した国際会議の成功および、FATFの新たな議長である米国が大量破壊兵器の拡散金融リスクへの対応を優先課題として位置づけたことを歓迎する旨の発言を行った。会議においては、「テロ資金供与、マネーロンダリング及び大量破壊兵器拡散資金供与との闘いは続いており、FATF基準の完全、効果的、かつ、迅速な履行を求めること」が確認された。また、「FATFに対し、大量破壊兵器拡散資金供与対策の取組の更なる強化を求める」こと、「テロリスト集団を支える金融網を撲滅するため、個別及び共同の取り組みをさらに進めることにコミットする」との合意がなされた。共同記者会見の様子G20ファミリーフォト20 ファイナンス 2018 Sep.G20ブエノスアイレスの概要SPOT

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