ファイナンス 2018年9月号 Vol.54 No.6
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主計局総務課主計官 寺岡 光博1平成31年度概算要求基準の基本的な考え方我が国の経済にとって、人口減少・少子高齢化や、生産性の向上、地方の活性化といった喫緊の諸課題への対応が求められる一方、財政については公的債務残高がGDPの2倍程度に累積するなど極めて厳しい状況にあり、経済再生と財政健全化の両立が急務となっている。こうした状況を踏まえ、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(以下「基本方針2018」という。)で示された、「新経済・財政再生計画」の枠組みの下、引き続き手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組んでいく。このような基本的な考え方の下、「平成31年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(以下「平成31年度概算要求基準」という。)が本年7月10日に閣議了解されたところである。平成31年度概算要求基準は、安倍内閣発足後の5年間の仕組みと基本的に同様としつつ、「新経済・財政再生計画」の内容を踏まえたものとしており、具体的には、1)昨年までと同様、予算の総額について、概算要求基準において決定するのではなく、予算編成過程において、「新経済・財政再生計画」を踏まえて決定する仕組みとしている。2)要求・要望においては、裁量的経費について、前年度予算よりも削減した額を要求することとしつつ、「基本方針2018」などを踏まえた諸課題に対応するため、「新しい日本のための優先課題推進枠」として別途要望を可能とする等、弾力的な仕組みとしている。3)予算編成過程においては、歳出全般にわたり、これまでの安倍内閣の取組を基調とした効率化を行平成31年度概算要求基準の概要平成31年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について義務的経費に係る削減額(▲B)自然増 0.60兆円地方交付税交付金等年金・医療等裁量的経費義務的経費さらに、聖域を設けることなく施策・制度の抜本的見直し新しい日本のための優先課題推進枠裁量的経費に係る削減額A×3倍裁量的経費への振替額B×3倍裁量的経費への振替額(+B)※1 地方交付税交付金等については「新経済・財政再生計画」との整合性に留意しつつ要求。義務的経費については、参議院議員通常選挙に必要な経費の増等については加減算。※2 「新経済・財政再生計画」で示された「真に必要な財政需要の増加に対応するため、制度改革により恒久的な歳入増を確保する場合、歳出改革の取組に当たって考慮する」との方針を踏まえた対応等については、予算編成過程において検討。●消費税率引上げとあわせ行う増(これまで定められていた社会保障の充実、「新しい経済政策パッケージ」で示された「教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保」及び公経済負担)等については、予算編成過程において検討。●「骨太方針2018」で示された「2019年10月1日における消費税率引上げに伴う需要変動に対して機動的な対応を図る観点から、歳出改革の取組を継続するとの方針とは別途、臨時・特別の措置を2019・2020年度当初予算において、講ずる」との方針を踏まえた平成31年度当初予算における対応については、予算編成過程において検討。裁量的経費に係る削減額(▲10%:▲A)30年度予算額74.4兆円12.7兆円14.7兆円31.5兆円15.5兆円10 ファイナンス 2018 Sep.SPOT

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