ファイナンス 2018年8月号 Vol.54 No.5
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(まつり)「名古屋の祭り」といえば、現在では、毎年10月に開催される「名古屋まつり」(戦国3大武将の織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑のパレード)が有名ですが、空襲で名古屋城や名古屋の町が焼失する前は、「東照宮祭」を上げる方が多かったようです。「名古屋東照宮」は、初代尾張藩主の徳川義直(家康の9男)により、家康の霊を祀るため名古屋城三の丸(現在の金シャチ横丁義直ゾーン)に1619年に創建された神社です。戦前の「東照宮祭」は、家康の命日の4月17日に名古屋東照宮から本町通を通って若宮八幡宮付近の東照宮御旅所(おたびしょ)まで、9輌の山車が曳かれました。この9輌の山車は、碁盤割りに住む職人の技が随所に施されたからくり人形をのせた豪華絢爛なもので、7代藩主・徳川宗春の頃が最も華やかであったと言われています。しかし、その山車も名古屋の町と同様に空襲で焼失してしまい、9輌の山車と町を練り歩くことは無くなりましたが、「東照宮祭」の伝統・精神は、現在の「名古屋まつり」に受け継がれています。金シャチ横丁 義直ゾーン(旬な話題)名古屋といえば、2027年にリニア新幹線の開業が予定されており、名古屋駅周辺は次々と高層ビルが建築され、名古屋経済の中心も人の流れも栄地区から名古屋駅周辺に移り変わってきています。その証として、最高路線価は、2005年以降、中区栄三越前(大津通)から中村区JR名古屋駅前(名駅通)に移ってから戻っていません。そんな中、中区周辺は変化しようとしています。本年3月29日には、名古屋城に「金シャチ横丁」がオープンし、正門近くの「義直ゾーン」は、名古屋城築城当時と同様に木曽檜を利用した純和風な町並みとなっており、そこでは、老舗の名古屋めしを堪能したり、伝統工芸にも触れられる場所として、また、東門近くの「宗春ゾーン」は、派手好きで知られる、7代藩主・徳川宗春にちなんで命名され、モダンなデザインを取り入れた建物が並び、出展店舗も、これからを担う若手経営者の飲食店が並ぶなど、幅広い年齢層の観光客を惹きつけています。また、本年6月8日には、名古屋城本丸御殿が2009年1月から9年間に及ぶ総額約130億円の復元工事を終え、400年前の煌びやかな空間を蘇らせ、一般公開されています。さらに、名古屋城天守閣は、2022年12月の完成を目指して、木造復元工事が予定されています。しばらくの期間、天守閣は見ることができませんが、豪華絢爛な上洛殿や忠実に復元されたふすま絵など名古屋城郭内には他にも魅力が満載です。名古屋城から南に位置する栄地区では、中日ビルの建替え、老舗百貨店が廃業し周囲のビルと合わせた複合施設の建設予定、テレビ塔を中心とする久屋大通公園の再開発計画もあります。栄地区の西側に位置する伏見地区では、本年4月に商業施設、高級マンションを併設した御園座タワーの開業や、納屋橋周辺のタワーマンション建築等で、栄周辺にも人を呼び込んでいる状況です。参考に、名古屋市中区の人口は、平成10年からの20年間で25千人増加しており、名古屋市内16区の中で一番高い増加率となっています。本丸御殿と名古屋城天守閣(おわりに)「名古屋には何も無い」とも言われますが、清須越しから400年来の歴史と伝統があり、また最先端の情報や文化が共存する大変魅力的な町です。ぜひ、「故ふるきを温たずねて新しきを知る」名古屋市中区にお越しください。76 ファイナンス 2018 Aug.連 載 ■ 各地の話題

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