ファイナンス 2018年8月号 Vol.54 No.5
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顧客に飲食させる「外食」だけではなく、「テイクアウト」(持帰り販売)や「出前」・「配達」のようなケースもあります。こうした「テイクアウト」や「出前」・「配達」は、単なる飲食料品の販売と言えます。したがって、飲食店が行う飲食料品の提供であっても、「テイクアウト」や「出前」・「配達」は軽減税率が適用されます。(4)一体資産おもちゃ付きのお菓子や紅茶とティーカップのセットなど、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっており、その一体となっている資産の価格のみが提示されているもの(「一体資産」)については、原則として標準税率の適用対象となりますが、一定の要件(税抜価額が1万円以下で、食品の価額の占める割合が3分の2以上)を満たすものは全体が軽減税率の適用対象となります。(5)包装容器等通常、食品や飲料を販売する場合、容器や包装材料を使用します。例えば、ペットボトルに入ったお茶を販売する際に使用されるペットボトルなど、飲食料品の販売に際し使用される容器及び包装材料が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、当該容器や包装材料も含め「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。なお、陶磁器やガラス食器等の容器のように飲食の用に供された後において食器や装飾品として利用できるものを食品と組み合わせてあらかじめ一の商品として価格を提示し販売している場合には、上記(4)の「一体資産」に該当します。(6)新聞軽減税率の適用対象となる新聞とは、定期購読契約に基づき購読される、一定の題号を用い、一般社会的事実を掲載する新聞で、週2回以上発行されるものとなります。一般家庭などに配達される日刊新聞等が軽減税率の適用対象となります。このほか、いわゆるスポーツ新聞や業界紙も、その新聞が週2回以上発行されるものであり、定期購読契約で購入しているのであれば、軽減税率の適用対象となります。(7)軽減税率を判断する者とそのタイミング軽減税率の適用対象となる範囲は上述のとおりですが、この軽減税率が適用されるか否かの判断は「販売者(売り手)」が「販売する時点」で行うことになります。したがって、例えば、精肉店が、食材(例えば牛肉)をレストラン(レストランでは全て標準税率となる「外食」で飲食料品を提供)に対して販売した場合の適用税率については、「買い手」であるレストランが、その牛肉をどのような用途に使用するかは関係なく、「売り手」が牛肉を販売する時点で判断すればよいこととなります(したがって、この精肉店からレストランへ行った牛肉の販売取引は軽減税率の適用対象となります)。4 区分記載請求書等保存方式(1)帳簿及び請求書等の記載と保存2019年10月1日から2023年9月30日までの4年間、仕入税額控除の方式について現行の「請求書等保存方式」に代り「区分記載請求書等保存方式」が実施されます。なお、後述しますが、2023年10月1日以降は、仕入税額控除の方式として「適格請求書等保存方式」(いわゆる「インボイス制度」)が実施されます。請求書等保存方式〈現行制度〉2019年10月2023年10月区分記載請求書等保存方式〈簡素な方法〉インボイス制度▲▲4年間4 ファイナンス 2018 Aug.

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