ファイナンス 2018年8月号 Vol.54 No.5
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第九回 自動車○で日本一ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?ファイナンス2017年12月号では人口日本一、翌1月号では日本酒日本一にまつわるネタを紹介しました。今回は、地方で暮らすにはなくてはならない自動車にまつわる話の日本一から展開していきたいと思います。都道府県比較でみると、例えば、新潟県における国道・県道の実延長は6,667km(平成28年4月現在)で2位、自動車保有台数は1,395,763台(平成30年4月末現在)で13位と、都道府県の面積が5位、人口が15位というなかで自動車交通の重要性は高いです。ただ、今回は違う観点。道路の維持管理はもちろん、様々な公共サービスの共通の会費としてなくてはならない税についてです。平成12年度から17年連続1位これは、自動車税をどの程度の割合で納めてもらったかを示す収入率の都道府県順位で、比較できる直近の数字である平成28年度では99.75%、例えていうなら1万円のうち25円しか漏れていない、ATMの手数料より小さい、という高い数字です。これは、伝え聞くところによると、昭和の時代、新潟県全体でそれほど税の収入率が高くなかったころ、各家庭に普及した代表的な税である自動車税を確実に納めてもらうことで、税を納めるのは当たり前、という意識を県全体で醸成していくため、特に自動車税に力を入れたそうです。各家庭に自動車があるという側面のほか、毎年必ず発生する税なので、一旦納めなくなると、積み重なることで金額がふくれあがり、完納が遠のいて納税意識が下がってしまう、という特徴も考慮したようです。確かに、県庁で勤務していると、「自動車税の納税はお済みでしょうか。5月31日までに納めましょう」といったお昼の放送が5月に何度も流れるのがとても印象的でした。タイヤロックや預金差押えなど、されるほうもするほうもしんどい事柄ですが、多額でなくとも放置せず迅速に対応する、というのが結果的に他の税目の収入率にも好影響を及ぼしているようです。困難なことでも先送りしないこと、また、大切な税金を住民の納得を得ながら効果的・効率的に公共サービスに活用することの大切さを改めて実感しました。全体では島根県全税目では、平成12年度からみると、新潟県は1位6回、2位7回、3位3回、4位1回と高い位置をキープしています。近年は5年連続2位で、平成28年度の収入率は98.89%ですが、島根県が平成20年度からずっと1位です。他に、鳥取県、佐賀県、香川県といった比較的人口や面積の小規模な県が上位の常連になっています。他方で、東京都は平成26年度22位から平成28年度5位に浮上したりと、景気回復か当局の徴収方針の変更か理由は定かではありませんが、大きく順位が上下する都道府県もあり、統計ってなかなか興味深いです。新潟県総務管理部長(元財務省広報室長)佐久間 寛道70 ファイナンス 2018 Aug.連 載 ■ ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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