ファイナンス 2018年8月号 Vol.54 No.5
71/88

人々を結婚から遠ざけたもの・結婚の意思を持つ未婚者が、理想的な相手が見つかって1年以内に結婚を考えた場合、結婚の障害となる要因としては、男女共に結婚資金が一位に挙げられている(図表6)。・実際に、男性の年収別の既婚率を見てみると、一部例外はあるものの、年収が低くなるほど既婚率が低くなっている(図表7)。・男性の非正規雇用比率を見ると、足下は横ばいで推移しているが、1990年代から増加が見られ、年収水準が相対的に低い男性が増えたことも、結婚を遠ざける要因となっていた可能性がある(図表8)。図表6 結婚の障壁0102030405060結婚資金親の承諾年齢上のこと健康上のこと男性女性結婚生活のための住居職業や仕事上の問題学校や学業上の問題親との同居や扶養(%)※18~34歳の未婚者で結婚意思を持つ者が1年以内に結婚を考えた場合、結婚の障害となることをアンケート調査した結果。図表7 男性の年収別既婚率020406080100200-249250-299300-399400-499500-599600-699700-79925-29歳30-34歳35-39歳(万円)(%)図表8 男性の非正規雇用比率051015202519848790939699020508111417(年)(%)※2001年以前は「労働力調査特別調査」、2002年以降は「労働力調査詳細集計」により作成。調査方法、調査月などに相違がある。女性の社会進出が進むと…・女性に目を向けると、「理想のライフコース」としては、専業主婦コースが減少、両立コースが増加しているが、「実際になりそうな予定ライフコース」では、専業主婦コースが減少する一方で、増加が著しいのは非婚就業コースである。足下では両立コースの増加も見えてきており、産休や育休などの制度が整ってきたことで結婚・出産後も仕事を続ける女性が増加した可能性が考えられる(図表9)。・女性の年齢別就業率をみると、いわゆるM字カーブは大きく解消されており、女性の社会進出が進んでいる状況がうかがえる。様々な立場にある女性が理想のライフコースを実現できるよう、結婚・出産後も仕事を続けやすい環境が整えられ、多様な働き方が今後も一層浸透していくことが期待される(図表10)。図表9 女性の希望するライフコースの推移02040608010019879297020510150204060801001987929702051015(年)(%)理想のライフコース実際になりそうな予定ライフコース(%)(年)※専業主婦コース:結婚し子供を持ち、その後は仕事をしない。再就職コース:結婚し子供を持ち、一度退職するが、子育て後に再就職する。両立コース:結婚し子供を持つが、仕事も続ける。DINKSコース:結婚するが子供は持たず、仕事を続ける。非婚就業コース:結婚せず、仕事を続ける。その他非婚就業コースDINKSコース両立コース再就職コース専業主婦コース図表10 M字カーブ05010015-1920-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-6465-日本(2016年)日本(1980年)米国スウェーデン韓国(歳)(%)(出典)総務省「国勢調査」「労働力調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」「出生動向基本調査」「人口統計資料」、厚生労働省「人口動態統計」、労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状(2)」、ILO「ILOSTAT」 (注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。 ファイナンス 2018 Aug.67コラム 経済トレンド 50連 載 ■ 経済トレンド

元のページ  ../index.html#71

このブックを見る