ファイナンス 2018年8月号 Vol.54 No.5
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若い君たちには明るい未来が待っている」など「人口減少」という厳しい現実をネガティブに考えるのではなく、ポジティブに考える必要性を生徒たちに気持ちを込めて伝えることです。そのため普通高校の生徒に対しては、地方創生全体の話に加え、イノベーションを起こす必要性、成長戦略である「未来投資2017」の話を行い、実業高校の生徒には、鹿島市に多く所在する「ものづくりの中小企業」について説明するほか、「郷土の素晴らしさ」を伝えることなどに多くの時間を割きました。生徒からは「AIなど第四次産業革命の講演は、今後の人生でターニングポイントになり、最も大事な話だった」「地元を盛り上げる必要性を感じた。若い世代が意見を持ち寄り話し合いたいと思った」「地方圏の人口減少に驚いた。県内で就職して地元を活気づけたいと思った」など元気あることばを頂きました。先生からも「生徒に講演を行ってくれる講師は数多くいるが、地元企業の素晴らしさなどを生徒に伝えてくれた講師は初めてだ」など生徒や先生たちから大変好評を得たところです。保護者や一般市民の多くの方々は、メディア等を通じ「人口減少」という現実を理解はされていると思いますが、日々多忙な生活に追われている人々にとって「人口減少」が及ぼす影響について考える機会は非常に少ないと思いますし、むしろ、それは当然のことだと私は思っています。人口減少や人口流出を止める特効薬はなく、何かの起爆剤を行ったとしても直ぐ成果が出るものでもありません。早急な成果を望むのではなく、日本全体がこのまま人口減少し続けた場合、地域や社会全体においてもあらゆる面で影響が出てくることを多くの世代層の方々に認識してもらうことが最も重要だと考えています。そのため学生だけではなく、機会を通じて保護者や一般市民にも講演を実施しているところであり、「伝える」ことが非常に重要だと思っています。地道な行動ではありますが、「伝える」ことで市民が影響を受け、人口問題に対して興味を持ち、地域を活性化させる必要があることに気づくことで、考えや行動に変化が生じその結果、将来、人口流失にストップがかかり、或いはストップがかからなくても、少数に留まることが出来ればと思います。また、Uターン、Iターン、Jターンなどへ繋がればと思っています。なお、生徒からのアンケート結果や講演内容については、プレス発表、市報、HP掲載市内中小企業への配布、鹿島市公式のLINE@アカウントでまちの情報として発信するほか、ケーブルテレビでも放映するなど、あらゆる手法で伝えています。イ.市民の反応早速、アンケート結果を見た市民から、私(筆者)宛に「貴殿の学生に対する講演は、今後この地域の未来を左右する非常に重要なことです。全面的に賛同いたします。是非一度お会いし、意見交換をさせていただければ幸いです」と有難い励ましのメッセージを頂きました。講演を受けた生徒からも「私は将来、佐賀の活性化に関わる仕事をしたいと考えているので、今回の講演は、佐賀の実情を知ることができ、興味深く聞かせていただきました。私は今、入試のため将来に関する情報を集めています。よろしければ、もっと詳しく地方創生についてお話を聞きたいと思いました。お時間を作っていただけないでしょうか」との問い合わせもございました。講演中、私(筆者)が学生の顔を見て感じたことは、進むべき進路や将来設計に迷っている姿がダイレクトに伝わったことや学校側から「卒業していく生徒に助言を行って頂きたい」と要望がありましたので講演最後に(1)18歳からの選挙権導入(2)常識や倫理、道徳観の必要性(1)生産物における佐賀ブランド(4)世界から見た日本などを分かりやすく、面白く説明を行い、不安を打ち消すような講話を行った結果「背中を押してくれる講演だった」との評価を多くの生徒から頂きました。3 今後の展開ア.「プラットフォーム」の設立講演後のアンケートでは、数多い生徒から「地元に就職して地域を活気づけたい」「地元を盛り上げたい」と多くの声が寄せられたため、この要望に応えるべく、現在以下のことについて、私(筆者)が中心となって鹿島市、鹿島商工会議所、近隣の高等学校が協 ファイナンス 2018 Aug.39地方創生の現場から【第4回】

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