ファイナンス 2018年8月号 Vol.54 No.5
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簡易課税制度を適用しようとする課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出し、同制度を適用することが可能です(注3)。(注1)簡易課税制度を適用しない中小事業者に限ります。(注2)売上げを税率ごとに管理できず、売上税額の計算の特例として「軽減売上割合」を使用した場合、その使用した「軽減売上割合」を「小売等軽減売上割合」とみなして仕入税額を計算します。(注3)原則は、簡易課税制度を適用しようとする課税期間の開始前までに消費税簡易課税制度選択届出書の提出が必要です。(注4)税額計算の特例は、課税期間ごとに選択することができます。ただし、簡易課税制度の特例を選択した場合は、2年間継続して適用した後でなければ、その適用をやめることはできません。小売等軽減売上割合簡易課税制度の届出の特例売上げを税率ごとに管理できれば仕入税額を計算できます(注2)。売上げや仕入れを税率ごとに管理できない場合は、簡易課税制度を適用して、仕入税額を計算できます。売上げを税率ごとに管理できる卸売業・小売業を営む中小事業者(注1)(1)(1)の特例を適用する事業者以外の中小事業者(2)卸売業・小売業に係る軽減税率対象品目の課税売上げ(税込み)卸売業・小売業に係る課税売上げ(税込み)○仕入税額の計算特例の2つの方法(図表B)5  適格請求書等保存方式 (インボイス制度)複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、2023年10月1日からインボイス制度が実施されます。インボイス制度の下では、上述の区分記載請求書に代えて、「適格請求書」(インボイス)等と帳簿の保存が仕入税額控除の要件となります。(1) 適格請求書発行事業者登録制度インボイス制度においては、仕入税額控除の要件として、原則、適格請求書発行事業者から交付を受けたインボイスの保存が必要になります。インボイスとは、「売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、一定の事項が記載された書類(請求書、納品書、領収書、レシート等)をいいます(様式・名称は問いません)。具体的な記載事項等は後述します。● 現行消費税制度における「請求書等」と 「インボイス」の違いポイント1  インボイスは適格請求書発行事業者しか発行できませんインボイスは、税務署長から登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)しか発行することができません(したがって、免税事業者は、インボイスを発行できません)。ポイント2 インボイスは発行する義務が生じます売り手である適格請求書発行事業者は、買い手(事業者)から求められた場合、インボイスを発行する義務が生じます。この点、現行制度(消費税法上)における請求書等は、消費税法上、発行義務はありません。ポイント3  消費税率、消費税額等を明記する必要がありますインボイスには「消費税率」、「消費税額等」を明記する必要があります。この点、現行制度(消費税法上)における請求書等にはこれらの事項を記載する必要はありません。ポイント4  仕入税額控除を行うために保存すべき書類(請求書等)の範囲に電子データが加わります現行制度(消費税法上)において、請求書等を電磁的記録(電子データ)で受け取った場合、それを保存しておかなくても仕入税額控除ができるという取扱いを行っていますが、インボイス制度後、仕入税額控除を行うためにはこの電子データ(いわゆる電子インボイス)を保存しておく必要があります。インボイスを発行しようとする課税事業者は、納税地を所轄する税務署長に登録申請書を提出し、適格請求書発行事業者の登録を受ける必要があります。この申請書は、インボイス制度実施の2年前である2021年10月1日から提出することができます。申請書の提出を受けた税務署長は、登録拒否要件に該当しない場合には、適格請求書発行事業者登録簿に法定事項を登載して登録を行い、事業者に対して、その旨を書面で通知することとされています。その際、登録番号が通知されることになりますが、通知される「登録番号」の構成は、法人番号を有する法人の場合は「T+法人番号」、個人事業者の場合は「T+13桁の数字」となります。 ファイナンス 2018 Aug.7消費税軽減税率制度、インボイス制度が実施されます!特集

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