ファイナンス 2018年8月号 Vol.54 No.5
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総称でまとめて記載するなど、申告時に帳簿に基づいて消費税額を計算できる程度の記載で差し支えありません(例えば、割り箸→雑貨、中華めん・なると→食料品)。(2)消費税額の計算軽減税率制度実施後も消費税額の計算方法は変わりませんが、消費税率が軽減税率と標準税率の2つの税率となることから、売上げと仕入れを税率ごとに区分して、税額計算を行う必要があります。なお、売上税額よりも仕入税額が大きくなった場合には、その差額については、申告することにより還付されることになります。例えば、8%対象の売上げと10%の仕入れがあり、結果として、仕入税額の総額が、売上税額の総額よりも大きくなるときは、申告によりその差額(マイナスとなった消費税額相当分)が還付されます。(3)中小事業者の税額計算の特例軽減税率制度実施後は、消費税額は税率ごとに計算しますが、一方で、受発注システムの改修が間に合わない等の様々な理由から、税率ごとに売上げや仕入れを区分することにつき困難な事情がある中小事業者*5の方については、簡便に税率ごとの区分ができるよう、軽減税率制度実施後、一定期間、税額計算の特例を適用することができます。*5) 中小事業者とは、基準期間(法人:前々事業年度、個人:前々年)における課税売上高が5,000万円以下の事業者をいいます。ア 売上税額の計算特例売上げを税率ごとに区分することが困難な中小事業者の方は、2019年10月1日から2023年9月30日までの期間、売上げの一定割合を軽減税率対象品目の売上げとして、売上税額を計算できる特例が設けられており、この割合の計算方法として、当ページ下部の図表Aに記載した3つの方法があります。イ 仕入税額の計算特例仕入れを税率ごとに区分することが困難な中小事業者の方には、仕入税額の計算特例として大きく分けて2つの特例が設けられています(次ページ図表B参照)。1つ目の方法として、売上げを税率ごとに管理することができる卸売業や小売業を営む中小事業者の方は、2019年10月1日から2020年9月30日を含む課税期間の末日までの期間、仕入れの一定割合を、軽減税率対象品目の仕入れとして、仕入税額を計算することができます。2つ目の方法として、1つ目の特例を適用しない、又は、適用できない(卸売業や小売業以外の事業を営む)中小事業者の方は、2019年10月1日から2020年9月30日までの日を含む課税期間、簡易課税制度の適用に関する特例が設けられています。今回の特例では、簡易課税制度の適用を受けようとする課税期間中に届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。(注)簡易課税制度を適用しない中小事業者に限ります。通常の連続した10日間の売上げを税率ごとに管理できれば、売上税額が計算できます。軽減売上割合小売等軽減仕入割合(1)の特例を適用する事業者以外の中小事業者(2)(1)・(2)の割合の計算が困難な中小事業者(注)(3)仕入れを税率ごとに管理できれば売上税額が計算できます。(注)主に軽減税率対象品目を販売する中小事業者に限ります。仕入れを税率ごとに管理できる卸売業・小売業を営む中小事業者(注)(1)卸売業・小売業に係る軽減税率対象品目の売上げにのみ要する課税仕入れ(税込み)卸売業・小売業に係る課税仕入れ(税込み)通常の連続する10営業日の軽減税率対象品目の課税売上げ(税込み)通常の連続する10営業日の課税売上げ(税込み)50100○売上税額の計算特例の3つの方法(図表A)6 ファイナンス 2018 Aug.

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