ファイナンス 2018年7月号 Vol.54 No.4
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主に物流拠点港としてその機能を分散しているところです。両港区はあわせて年間およそ1万5,000隻もの船舶が入港しており、取扱貨物も外国貨物、内国貨物合わせて1億トンを超える、全国でも有数の港となっています。近年は、貨物をシャーシごと積み込めるRORO船が定期便として就航し、船自体も年々大型化が進んでいます。カーフェリーも西港区から太平洋側へ、東港区(周文埠頭)から日本海側へと全体で週60便ほど就航しており、大型連休時期や夏休み時期には本州から来る旅行者で活況を呈しています。RORO船が停泊する西港、手前はキラキラ公園また、港周辺の整備も進んでおり、西港区の北埠頭にある北埠頭緑地(愛称:キラキラ公園)は、積雪のない季節の好天の日などには、小さな子供を連れた家族が遊び、西港区を模した水場では夏などは幼稚園・保育園の子供たちが水浴びをする光景をよく見ることができます。漁港区近くにある「海の駅ぷらっとみなと市場」には新鮮な海の幸を食べたり買ったりする観光客があつまり、漁港区にある食堂では水揚げ17年連続首位の北寄貝(ウバガイ)入りのカレーが有名で、観光客はもとより地元の人も行列を成していたりもします。4今後の苫小牧港昭和38年に第1船が入港し、以来今年で55年が経ちました。この間、東港区の供用開始、国際コンテナ機能の西港区から東港区への移転等発展を遂げつつ現在に至っています。今後、西港区に入港する船舶の大型化(バルク船、RORO船、フェリー等)への対応、東港区の整備、地域への貢献等課題はたくさん抱えています。その中で、東港区においては、植物工場や食品加工工場など食関連産業の立地が進んでいます。また、来年には大型の冷凍冷蔵倉庫が完成し営業を始め、この倉庫を核とした付加価値の高い食品加工機能が一体化した産業基地(フードコンプレックス)の形成について、検討が始められています。狭隘化する西港区の機能改善を図りつつ、新たな課題に対しては東港区を中心に対応する将来構想も検討されているところです。苫小牧港は、西港区や東港区におけるRORO船ターミナルを整備、フェリー埠頭の整備、フードコンプレックスの形成等で北海道の戦略的産業である「食」と「観光」への貢献、大規模災害等が発生した場合に備えた物流の強靭化、再生可能エネルギーによる発電施設やリサイクル産業、LNG等を燃料とするSOx規制強化対応船への燃料等補給基地化での低炭素社会の構築への貢献、今後開発が進む北極海航路の地域的ハブ機能の構築。港周辺の公園施設や緑地施設を整備しての地域社会への貢献、等を目指した長期将来構想についても検討しているところです。また、西港内にある漁港区においては、先ごろ国土交通省の農水産物輸出促進基盤事業の北海道第1号として、屋根付き岸壁(全長251m)の第1期工事(52m)が完成、供用開始で、苫小牧港で水揚げされる水産物の高品質化につながり、全国でも有数の水産物輸出港である苫小牧港からの輸出拡大が期待されているところです。まだまだ歴史の浅い苫小牧港ですが、今後にも注目しつつ、観光・物流の北海道の海の玄関となる苫小牧港にぜひ一度皆さんもお越しになってみてください。(写真協力)苫小牧港管理組合 ファイナンス 2018 Jul.93連 載 ■ 各地の話題

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