ファイナンス 2018年7月号 Vol.54 No.4
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(2) 2020年東京オリンピック・パラリンピック 競技大会記念貨幣の特徴本記念貨幣には、図柄のデザイン向上や偽造防止の観点から、各種工夫が施されています。ここでいくつかご紹介します。ア.千円銀貨のデザインはじめに、千円銀貨の表おもて面めんについて、オリンピック競技図柄は「水泳」、パラリンピック競技図柄は「柔道」となっていますが、その背景には、日本の伝統紋様を取り入れることとし、「水泳」では『流りゅう水すい紋様』、「柔道」では『角かく繋つなぎ』を採用しています。今後、順次発行される各種千円銀貨の競技図柄の背景にも、今回同様、競技図柄と相性の良い日本の伝統紋様を採用する予定ですので、各競技図柄に対しどのような伝統紋様が採用されるかぜひ注目してください。次に裏面について、東京大会のエンブレムとともに、東京都の花であるソメイヨシノ及び東京都の木であるイチョウの葉で構成しています。その中のイチョウの葉のデザイン部分には偽造防止技術の『潜せん像ぞう』を搭載しており、上方向に傾けた場合と下方向に傾けた場合でイチョウの葉の見え方が異なる仕様となっています。本記念貨幣を手にした際は、イチョウの葉に搭載されている偽造防止技術の『潜せん像ぞう』をぜひご自身でお確かめください。イ.百円銅貨の仕様百円銅貨は偽造防止の観点からクラッド貨として発行することとしています。『クラッド貨』とは、2種類の金属板をサンドイッチ状に重ね合わせる「クラッド技術」を用いた貨幣であり、本記念貨幣の素材は「白銅」及び「銅」の2種類となっています。また、百円銅貨は金融機関の窓口において引換え*7を行うこととしていますが、オリンピック貨幣とパラリンピック貨幣の識別性を向上させる観点から、側面の斜めギザに工夫を施しています。具体的には、オリンピック分のギザは間隔を狭く、パラリンピック分のギザは間隔を広くしています。百円銅貨が発行された際は、ぜひ全国の金融機関において引換えを行ってい*7) 記念貨幣には、○額面価格と同額で金融機関において引換えを行う「引換型」と、○額面価格を上回る価格で造幣局が販売する「販売型」の2種類がある。ただき、実際にご自身の手で触って確認してみてください。(3) 第一次発行分の 販売スケジュール等について第一次発行分の記念貨幣について、一万円金貨(発行枚数:4万枚、販売価格:120,000円)及び千円銀貨(発行枚数:各10万枚、販売価格:9,500円)は7月10日(火)から8月1日(水)まで、造幣局にて販売申込の受付をしています。本記念貨幣の購入をご希望の方は、申込受付期間内に郵便はがき、もしくは造幣局オンラインショップ(https://www3.mint.go.jp/)によりお申込みください。具体的なお申込方法等については、造幣局のウェブサイトに掲載されていますので、興味のある方はぜひご確認ください。また、百円銅貨については本年11月頃を目途に、全国の金融機関の窓口において額面価格(百円)により引換えを行う予定です。具体的にいつから、どこの金融機関において引換えができるか等については、財務省から本年10月を目途に公表を行う予定ですので、ぜひ財務省のホームページ等をご確認ください。東京大会の成功に向けて上述のとおり、本年11月の第一次分の発行を皮切りに、大会開催直前の第四次分まで37種類ものオリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣が発行されます。図柄作成や図柄投票等、まだ多くのやらなければならないことが残っていますが、本記念貨幣が国民に広く親しまれ、記念貨幣を通じて東京大会の成功が人々の記憶に末永く刻まれるものとなるよう、懸命に取り組んでまいりたいと思いますので、皆様もオリンピック・パラリンピックとともに、ぜひ記念貨幣をお楽しみください。次ページ以降は、記念貨幣の歴史や現場で働く局員へのインタビューを交えながら、造幣局の役割について紹介します。 ファイナンス 2018 Jul.52020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣について特集
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