ファイナンス 2018年7月号 Vol.54 No.4
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などで引用するとカッコいいだろうなと思い、原典に当たってその前後の記述も知ろうと、手元の端末でインターネット上を検索してみたが、ダーウィンがどの著作で言及した言葉なのかわからない。図書館の書架に「種の起源」があったので、暇に任せて(読むのではなく、まさしく文字通りに)めくってみたが、それらしい記述は見当たらない。再度いろいろ検索してみると、この一節の原典探しをはるかにまじめにやった先人がいたようで、そのサイトには、後世の人の創作というか、進化論の解釈が、あまりによくできているので、いつのまにかダーウィンの名言として定着したのではないかとある。さもありなん。いくつかのサイトによれば、どうやら創作者は、レオン・C・メギンソンというルイジアナ州立大学の経営学の教授だったらしい。引用(quote)を調査する海外のサイトによれば、(英文なので以下の理解は実に心もとないが、)1963年に米国の南西部社会科学会大会での同教授のスピーチの中に「生き残る種とは」の一節がある旨が、同学会の季刊誌で確認されているとのことである。進化論に飽きて、晩飯の献立に思いを移す。今朝スーパーでは、分厚い米国産のステーキ肉が安かったので、思わず買った。鮮魚売り場では、6月初だというのに、旬の名残というのか、ほたるいかがあったので、これまた直ちに購入。野菜は、サラダ用にルッコラ、サラダほうれん草、さらにベビーリーフのパックを買った。そうだ、ほたるいかをサラダにのせて食べよう。味付けは、今流行っているというポン酢のジュレを作ってみようか。ポン酢味だけだと飽きるから、ごまのドレッシングも少しかけてみよう。スープは、ステーキ肉の切れ端とねぎと胡麻とわかめと溶き卵で韓国風のスープを作ろう…。何はともあれ早く帰ってポン酢をゼラチンで固める作業に取り掛かるとして、主菜を何にするかは、女房の機嫌を見ながら慎重に考えた方がよさそうだ。プランBとしては、USビーフに代えて、冷凍の鯖フィレを焼き、明日用に買った鶏肉で何か一品というところかな。何事も臨機応変が大切。変化に最もよく適応したものが生き残ることができるのだから。たしかに、ダーウィンならぬメギンソン教授の警句はよくできている。頭から離れない。食卓でも滔々と解説をしてしまいそうだ。仕入れたばかりの知識をひけらかすなと、顰蹙を買うかも。調子に乗ってゴキブリの種としての逞しさを讃えるよりはまだましだが。…気をつけよう。〈材料〉 ほたるいか1パック(ボイルしたもの)、ルッコラ1袋、サラダほうれん草1袋、ベビーリーフ1パック、パブリカ半個(洗ってから薄くスライス)、粉ゼラチン5g(1袋)、市販のポン酢80㏄、麺つゆ大匙1、レモン果汁大匙1、味醂大匙1、市販の胡麻ドレッシング(1)粉ゼラチンを水50ccでふやかしておく。ポン酢、味醂、水100㏄を合わせて火にかけ、沸騰直前に火を止める。麺つゆ、レモン果汁を加え、水にふやかしたゼラチンを溶かして、バットなどに流し込む。粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて冷まして固める。(2)ルッコラ、サラダほうれん草を適当に切り、ベビーリーフとともに水で洗い、よく水を切る。(3)皿に野菜を盛り、ほたるいかを上に盛る。(4)ジュレをフォークで崩してサラダにのせ、味に変化をつけるため、ところどころにごまドレッシングを振る。 * ゼラチンを溶く水の量などは製品によって違うので、箱に記載の分量によること。酸味が強いと固まりにくい傾向があるので、多少水分控えめにした方がいいかもしれない。** ジュレを冷蔵庫で冷やし固めるのに小1時間はかかるので、まず先行してジュレに取り掛かって、冷蔵庫に入れてから他の料理に着手するのがよい。ほたるいかと野菜のポン酢ジュレサラダのレシピ(4人分) ファイナンス 2018 Jul.81新々 私の週末料理日記 その23連 載 ■ 私の週末料理日記

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