ファイナンス 2018年7月号 Vol.54 No.4
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4,205グラムで生まれ、医者から「Hi! Giant Baby!」と呼ばれていた我が娘を片手で洗うのは米国人といえども大変そうでしたが。・通常出産の場合、約3日後には退院するのですが、赤ちゃんはすぐに毛糸の帽子と毛糸の手袋を付けさせられました。米国人の赤ちゃんは、基本的に生まれた時に毛がほとんど生えておらず、頭からの放熱に伴う体温低下を防ぐためだそうです。退院時、車にチャイルドシードが固定されていなければ、赤ちゃんを引き渡してくれません。6 おわりに本稿をご覧になられた皆様の中には、これから海外赴任する方、海外旅行が好きな方など多くの方がいらっしゃることと思います。長期滞在と短期旅行では、勝手がかなり異なりますが、世界のどこであっても海外勤務、生活をするうえでの重要なキーワードをまとめとして、私なりにいくつか挙げました。(1)郷に入らば郷に従え! そして、時には郷に入っても郷に従うな?:郷に入る際、「恐れずに異文化に飛び込む」という心意気がまず不可欠です。但し、何も無謀に行けというのではありません。リスクマネジメントをしつつ、「君子危うきに近づかず」を実践しつつ、飛び込むということです。海外ではテロの危険は日本に比べ高く、人間は銃弾、爆弾には勝てませんから。交通法規を放棄する国では、郷に従ってはいけません。そのためには、その「郷」を事前によく調べ、入ってからもリスクマネジメントを怠らないことが重要です。(2)日本の知識:海外の人は、自国のことを歴史を含めてよく勉強しています。このため、日本人に対してはこと細かく日本のことを聞いてきます。海外から日本を見ると、日本人でも意外と日本ことを知らない部分が多いんですね。勉強が大切です。(3)柔軟性:やはり自分の尺度でモノを計ってはコトは進みません。まず、相手を受け入れましょう。(4)厚かましさ:英語が下手でも喋りましょう。相手は自分以上に下手かもしれません。(5)情熱:特に途上国でのODAに携わる場合、その国を愛し、その国の首相、大統領になったつもりで、発展させようという情熱が必要です。プライベートの時間でも、熱意を持って取り組めば何でも乗り越えられます。(6)主体性:待っていては何も起こりません。自ら行動を起こしましょう。「やろうと思います」だけでは何の成果もありません。やると決めた以上、その結果を自らに求めましょう。(7)趣味の多さ:多彩な趣味は、特に途上国生活では重要です。趣味がないと、土日や平日の夜にでも、仕事以外にすることがありません。特に海外では芸は身を助けます。そして最後に、(8)チャレンジ精神:初めて訪れる土地では当然ながら不安な気持ちになります。でも、怖がる前にまず、飛び込んでみましょう。海外にいなければできないこと、海外にいるからこそできることをする、これこそ、海外生活の特権であり、最大の醍醐味ではないでしょうか。父から教わった私の座右の銘でもあるアメリカの詩人サミュエル・ウルマンの詩を最後に紹介したいと思います。“青春とは心の若さである。信念と希望に溢れ、勇気に満ちて、日々新たな活動を続ける限り、青春は永遠にその人のものである”では皆さん、快適な海外生活を! 素敵な海外旅行を!プロフィール武藤 静城(むとう しずき)1987年より国税庁(東京国税局)を皮切りに、大蔵省大臣官房調査企画課(現財務省総合政策課)、財政金融研究所(現財務総合政策研究所)にて、ドイツ連邦銀行ウォッチャーとしてドイツ経済金融分析を担当したほか、ODA業務に従事。この間、米国コーネル大学行政大学院に留学(行政学修士)。税務大学校では国際研修担当教官として、海外の税務行政官に税法・税務行政を指導した後、国税庁ニューヨーク駐在員(長期出張者)として従事。東京国税局では、調査部にて主に移転価格税制を中心とした国際課税を担当。2015年より現職。 ファイナンス 2018 Jul.71海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連 載 ■ 海外ウォッチャー

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