ファイナンス 2018年7月号 Vol.54 No.4
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その他、全国に和菓子等を販売する(株)あわしま堂、大手ハンバーガーチェーン西日本店舗向けのビーフパティを製造しているオレンジベイフーズ(株)などの企業や、柑橘や海産物の加工会社(マーマレード、じゃこ天等)を有します。[観光]八幡浜市の観光拠点施設は、「八幡浜みなっと」(道の駅・みなとオアシス)です。みなっとは、地域の素材を活かした産直・物販・飲食施設「アゴラマルシェ」、八幡浜漁港に水揚げされた新鮮な魚を直売する「どーや市場」、市の観光案内所や市民の文化・地域活動拠点を担う「みなと交流館」等から構成されます。オープン以降、5年連続で来場者数100万人を超え、ゴールデンウィーク中の観光客数は道後温泉や松山城等を凌ぎ2年連続で県内1位となる人気施設です。その他、西日本で唯一現存する蚕種会社である「愛媛蚕種」等の古い街並みが残る保内地域や、ゆったりとした時間が流れるいやしの楽園「大島」などの観光名所を有します。また、マウンテンバイクの聖地として知られており、毎年行われる「やわたはま国際MTBレース」には、世界各国からライダーが集って*10、激戦を繰り広げます。食にも恵まれており、港でその日に揚がった新鮮な*10) 2018年は、10の国・地域から34名の参加がありました。*11) 2015年から2045年までに52%減少。*12) こうした取組は、地域商社やDMO(Destination Management/Marketing Organization)と言われます。魚を楽しめる飲食店は勿論のこと、近年では市内に40軒以上提供店がある「ちゃんぽん」を特産として売り出しています。[課題]八幡浜市の最大の課題は、人口減少です。2018年3月公表の国立社会保障・人口問題研究所推計において、県内11市で最悪の人口減少率*11となっており、市民に必要な公共サービス・インフラを提供するために、この人口減少に歯止めをかける必要があります。人口減少のうち社会減については、「ヒトの移動」という複雑な要因に基づく社会現象による結果であり、特効薬はありません。シティプロモーション、地域経済の強化や、それによる魅力的な仕事づくり、子育てしやすい環境づくりなど、横断的な政策に地道に取り組むことが肝要です。また、6次産業化・農商工連携の推進も課題の一つです。前述のとおり、当市のみかんや魚は、他の産地に比べ、生のままでも高く売れる現況にあります。このこと自体は生産者にとって悪いことではないですが、その結果として、6次産業化や農商工連携による高付加価値化が遅れているという状況が生じています。6次産業化推進に向けては、第1次産業に従事する方々にその意義や効果を御理解いただく必要があることに加え、商品開発や販路獲得などマーケティング的な発想が必要となるため、市全体で高付加価値化に取り組むための運営主体の創成や人材発掘も重要な課題です*12。2 自治体の取組の紹介[地方創生推進担当チーム]当市では、「八幡浜市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に沿って、第1次産業の振興を軸とした諸施策に取り組んできました。しかし、人口減少に歯止めがかかるどころか、更に加速して進行しているのが現状です。こうした状況を踏まえ、本年4月に、地方創生係を地方創生推進室へと格上げし、また初の取組とし八幡浜みなっとマウンテンバイク大島ちゃんぽん ファイナンス 2018 Jul.39地方創生の現場から【第3回】

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