ファイナンス 2018年7月号 Vol.54 No.4
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八や幡わた浜はま市(愛媛県)における地方創生の取組―世界マーマレード大会誘致等を例として―八幡浜市企画財政部長(地方創生担当) 今岡 植*2) 愛媛県は、東予(今治市、西条市、新居浜市、四国中央市、上島町)、中予(松山市、伊予市、東温市、久万高原町、松前町、砥部町)、南予(宇和島市、八幡浜市、大洲市、西予市、内子町、伊方町、松野町、鬼北町、愛南町)地域の3つに区分されます。*3) 愛媛県は現在11市9町で構成されています。*4) 2015年国勢調査人口。*5) 2018年国立社会保障・人口問題研究所公表。愛媛県の人口は約139万人で、県庁所在地である松山の人口は約51万人です(2015年国勢調査人口)。*6) 温州みかんの生産量は和歌山県が1位です。*7) 温州みかんを含む柑橘全体での売上高は約114億円でした。なお参考として、当市の予算規模は、一般会計約200億円、特別会計・企業会計約200億円で計約400億円です。*8) 事業規模は約17億円。*9) トロール漁業は、底引網漁業の一種。1 八幡浜市の概要[人口]八幡浜市は、愛媛県の南予地域*2に属し、北は瀬戸内海、西は宇和海に面する港町として、古くは海上交易や紡績で栄えた歴史を有します。2005年に、旧八幡浜市と旧保内町の合併により、現八幡浜市が誕生しました*3。人口は、1950年の72,882人をピークに毎年減少傾向が続いており、2015年に34,951人*4だった人口が、2045年に16,773人まで減少すると見込まれています*5。[アクセス]松山駅から八幡浜駅までJR(特急)で約50分、自動車で約1時間20分。また、大分県臼杵市及び同県別府市との間に1日20往復ものフェリーが運航しています。その他、東京や大阪・京都、名古屋との間に夜行バスも運行しています。[産業]「みかんと魚のまち」として知られており、温州みかんをはじめとする柑橘生産者や漁業関係者等の第1次産業従事者の占める割合が高いことが特徴です。愛媛県は40年以上にわたり柑橘の生産量が日本一ですが*6、そのうち、温州みかんについては八幡浜市が県全体の約5割の生産高を有します。特に、「日の丸」「真穴」「川上」という3大ブランドは、日本のみかんの価格相場を決めるプライスリーダーとして広く認知されており、2016年度の温州みかんの売上高は約84億円でした*7。漁業については、2013年に整備された高度衛生管理型の魚市場*8において毎日取引(競り)が行われており、ほとんどの魚は東京や大阪にそのまま輸送されます。八幡浜港に揚がる魚は、その魚種が多いことが特徴で、季節によって様々な魚を堪能することができます。2017年度の取扱金額は約38億円でした。一時期27統54隻あったトロール船*9は、今は1統2隻のみとなりましたが、今でも八幡浜の漁業を力強く支えています。みかんトロール船38 ファイナンス 2018 Jul.
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