ファイナンス 2018年7月号 Vol.54 No.4
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(1)特産物を活かした取り組み既述のとおり、本市には、生産量こそ多くないですが、高品質な多数の特産物が生産されています。第一に、それらの磨き上げやブランディングを通じて、本市の農産物の付加価値の向上や市のPR・知名度の向上へとつなげる取り組みや、特産物を用いた魅力的な商品やサービスの開発を促進するための6次産業化・農商工連携等の推進に取り組んでいます。具体的には、今年度を6次産業化推進のスタートとして、農業者及び商工業者団体や支援機関等の関係者による協議会を立ち上げ、本市の今後の6次産業化・農商工連携の推進に向けた戦略を策定することとしている他、農業者や食に関する中小企業者を対象とした講習会やマッチングを実施することとしています。加えて、5年後に開業予定のアウトレットモールへの来場者をメインターゲットとした特産物の販売強化のため、既存の直売所機能の拡充や販売拠点等の新設に関する検討、さらには、都市近郊型農業の強みを活かした観光農園の推進等にも取り組んでいます。(2)地域経済の好循環への仕組みづくり次に、年間500万人から700万人といわれる2023年に進出予定のアウトレットモールへの来場者を、本市の地方創生と経済の活性化につなげる仕組みづくりを進めています。特に、新設予定の新名神高速道路のICがアウトレットモールに直結する予定であることから、アウトレットモールから本市の中心部や観光地に足を運んでもらえるよう、地域資源を活用した周遊ルートの設定やプログラムの開発等に取り組んでいます。その際には、京都及び奈良の寺社仏閣のような著名な歴史的・文化的観光資源が存在しないことから、魅力的な駅周辺施設や商店街の整備、特産物を利用した料理を食べられるレストラン、自然資源を活かした体感体験プログラムや農業体験など、「コト消費」の流れを踏まえて、差別化戦略を検討することが重要であると考えられます。(3)操業環境の整備と新産業の創出最後に、本市西部の久世荒内・寺田塚本地区や、南部の京都山城テクノパークへの進出企業を中心とした、市内事業者の操業環境の整備に向け、事業者間の交流の場づくりや企業と求職者のマッチング等に取り組んでいます。具体的には、雇用対策としての市内企業と求職者のマッチングの機会の創出や、府内大学との連携による、市内事業者の概要、ニーズ・シーズ及び求人情報などを掲載するWeb上のプラットフォームの構築などがあります。また、従来より、砂利採取跡地である東部丘陵地420haの開発を進めており、2023年のアウトレットモールの進出を皮切りに、順次、土地利用を開始することとしています。この広大な土地をどのように利用するかについて、喧々諤々に議論を行っていますが、個人的には、今後の国の施策次第ですが、自動運転やドローンの無人飛行等の最先端技術の国家プロジェクトの実証実験地区として特区指定を受け、周辺地域に最先端産業の集積を形成するというアイデアも面白いのではないかと考えています。それによって、市の産業基盤の強化、関西文化学術研究都市の頭脳との連携、市の知名度の向上なども期待することができます。4 おわりにここまでで、タイトルの「京都城陽」という名前の説明がされていないことに気が付いた読者もおられると思います。これは、小職が作成に深く関わった今後の市の産業の振興ビジョンにて掲げられた、市のPRのためのキーワードです。派遣の折り返し地点を迎え、残り半分となった任期の中で、上記の対応方針の掘り下げはもとより、「京都城陽」という名前の全国への普及に尽力し、今後とも本市の地方創生に貢献していきたいと考えています。アウトレット開発イメージ図 ファイナンス 2018 Jul.37地方創生の現場から【第3回】

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