ファイナンス 2018年7月号 Vol.54 No.4
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2 現状と課題(1)人口の減少と少子高齢化の急速な進展本市では、他の多くの自治体同様、人口減少及び少子高齢化の進展が最大の課題となっており、今年4月時点の人口は75,421人と、1997年のピーク時(85,398人)から約1万人(約12%)減少しています(図表2-1-1)。市内に高等教育機関が存在しないことも相俟って、特に、大学進学や大学卒業後の就職のタイミングでの市外流出が顕著となっており(図表2-1-2)、その結果、高齢化率が31.2%(2015年国勢調査)と、京都府平均や周辺市町村と比べて高くなっています。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、2040年には58,988人まで減少すると予測されており、2010年から2040年の20歳から39歳の女性人口の減少率が5割を超える市区町村である、いわゆる「増田レポート」における「消滅可能性都市」の一つとされています。(2)低い市の知名度第二の課題として、全国、そして近畿圏内、はたまた京都府出身者や在住者の中にも、本市の名前や位置関係を知らない人が多いという、市の知名度の低さが挙げられます。読者の中には、「宇治市は知っているけど、城陽市は聞いたことがない」という方が多いのではないかと思われます。知名度が低いことは、(ア)京都と奈良の中間という絶好の立地でありながら、インバウンドを含めた両都市への観光客を本市へ呼び込むことが困難となり、(イ)特産物等の首都圏等での販売促進活動等における大きなハンデとなり、また、(ウ)認知度が低いために若年層への訴えが難しく、UIターンが進みずらいなど、様々な問題へとつながる根本的な課題です。本市のブランディングや地域資源の掘り起こしとそれらのPR等を通じて、京都府南部・山城地域12市町村の他の自治体との差別化が重要となります。(3)「通過交通」のまち第三に、上記(2)とも関係しますが、京都と奈良の中間点で大阪からも自動車で1時間以内という好立地にありながら、本市が目的地とはならない、いわゆる通過交通のまちとなっています。直近の観光入込み客数(延べ人数)は、京都市約5,520万人、宇治市約560万人であるのに対して、本市へは約100万人程度となっています(2016年度)。5年後には新名神高速道路の全線が開通し、交通利便性が一層向上することになりますが、これによって増加する本市を経由する人口の増加を、目的地として本市を訪れ、経済活動を行う交流人口の増加につなげ、地域経済の好循環とその後の定住人口の増加につなげることが必要となります。3 上記課題への対応方針上記の課題に対して、本市では様々な対応策を講じていますが、ここでは、小職が関わっている産業・農業振興、観光等の分野における施策を中心に、大きな取り組みの方針をまとめます。図表2-1-1 人口の動向20,03835,65858,92374,35081,85084,77085,39884,34681,63680,03776,869010,00020,00030,00040,00050,00060,00070,00080,00090,000100,000(人)20152010200520001995199019851980197519701965図表2-1-2 年齢構成別人口移動の推移(全体)-1,400-1,300-1,200-1,100-1,000-900-800-700-600-500-400-300-200-10001002003004005006007008001980年→1985年(人)1985年→1990年(人)1990年→1995年(人)1995年→2000年(人)2000年→2005年(人)2005年→2010年(人)0〜4歳↓5〜9歳25〜29歳↓30〜34歳5〜9歳↓10〜14歳10〜14歳↓15〜19歳15〜19歳↓20〜24歳20〜24歳↓25〜29歳30〜34歳↓35〜39歳35〜39歳↓40〜44歳40〜44歳↓45〜49歳45〜49歳↓50〜54歳50〜54歳↓55〜59歳55〜59歳↓60〜64歳60〜64歳↓65〜69歳65〜69歳↓70〜74歳70〜74歳↓75〜79歳75〜79歳↓80〜84歳80〜84歳↓85〜89歳85〜89歳↓90歳〜36 ファイナンス 2018 Jul.
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