ファイナンス 2018年7月号 Vol.54 No.4
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口の増加と地域経済の活性化による地方創生を目指しています。(2)産業・農業・自然等の地域資源本市は、これまでベットタウンとして発展してきたため、現状で際立った産業集積等はありませんが、伝統産業において、着物の装飾や相撲の化粧まわし、袈裟などに利用される金銀糸が有名であり、全国産出量の約半分を占めていると言われています(図表1-2-1)。この金銀糸の振興に向け、市内の事業者が中心となって協議会を設立し、販路拡大やブランド化に向けた取り組みを進めています。農産物については、狭小な市域で生産量は多くはないですが、宇治抹茶の原料となるお茶(てん茶)、京都府内産出量の90%以上を占めるイチジク、市の木であり、城州白という品種を中心とした梅、日本の主要産地の一つとされている花しょうぶなどの湧水花卉、「栗より甘い」と言われる甘藷など、多様な特産物が生産されています(図表1-2-2)。中でもお茶については、てん茶の一大産地として、全国茶品評会において過去に何度も日本一の称号を獲得するなど、その品質で高い評価を受けており、「最高峰の碾茶・抹茶のまち」として、市を挙げてPRしています。また、本市西部を流れる木津川の河川敷に広がるてん茶の茶畑の風景は、2016年度に京都府景観資産に登録され、さらに、『流れ橋と両岸上津屋・浜台の「浜茶」』が、「日本茶800年の歴史散歩」~京都・山城~のひとつとして、文化庁より、日本遺産(歴史的魅力や特色を通じた我が国の文化・伝統を語るストーリーを登録する制度)の一つに認定されています(図表1-2-3)。また、二つの古都、京都と奈良の中間に位置し、古くから文化・交通の要衝として栄えてきた地域であることから、縄文時代から奈良時代にかけての集落遺跡や古墳群などの史跡が数多く存在します(図表1-2-4)。加えて、本市はJリーグの京都サンガF.C. (2018年6月時点J2リーグ)のホームタウンであり、拠点練習場(図表1-2-5)があるほか、多くの市民や観光客の憩いの場となっている市東部の鴻ノ巣山、「京都の自然200選」の一つに選ばれている鴨谷の滝(図表1-2-6)、約20haに渡る府内最大の梅林である青谷梅林(図表1-2-7)など、自然資源も豊かなまちです。図表1-2-2 本市の特産物図表1-2-1 金銀糸図表1-2-3 本市のてん茶の茶畑風景図表1-2-4 森山遺跡図表1-2-5 サンガタウン城陽図表1-2-7 青谷梅林図表1-2-6 鴨谷の滝 ファイナンス 2018 Jul.35地方創生の現場から【第3回】
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