ファイナンス 2018年7月号 Vol.54 No.4
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年度は矢巾町にとって、まちづくりの指針である総合計画(第7次矢巾町総合計画(後期計画))の策定時期に当たり、今後、フューチャーデザインの手法も活用しながら、住民の意見を幅広く取り入れ、計画に掲げる具体的な施策の検討を進めていくこととしている。今般、矢巾町に対して、東北財務局は17年12月にヒアリングを実施し、18年4月に矢巾町長へ診断表を交付した。矢巾町の診断表では、診断基準に照らして現在の財務状況に問題は生じていないとしつつも、財務指標は総じてみると悪化傾向にあり、類似団体平均と比較すると劣位しているとした。また、類似団体平均と比較して行政経常収支率の低下が顕著であったことから、分析をおこない、その要因として扶助費及び物件費の増加を挙げた。今後の財政運営に係る留意すべき点として、扶助費については、高齢化の進行に伴い更なる増加が見込まれることから、行政経常収支へ図4:矢巾町の診断表の内容(抄)(年度)矢巾町の財務状況(財務指標)【債務償還可能年数】(ローンを返済するのに何年かかるか)【積立金等月収倍率】(預貯金が給与の何倍か)【実質債務月収倍率】(ローンが給与の何倍か)【行政経常収支率】(ローンの返済に回せるお金はどれくらいか)悪い(月)(年度)(年)良い6.25.25.96.26.67.911.814.115.612.36.07.07.97.28.47.89.90.05.010.015.020.02007200820092010201120122013201420152016矢巾町類似団体平均4.14.34.14.74.95.55.44.74.44.14.85.35.96.16.25.55.515.914.013.415.014.115.616.617.517.116.39.88.78.68.18.18.08.40.05.010.015.020.025.0200720082009201020112012201320142015201621.522.618.820.117.816.511.610.39.111.015.113.712.312.310.910.88.6●2016年度決算に基づき財務指標を算出したところ、指標はいずれも診断基準に該当していないことから、少なくとも現在のところは、「財務上の問題」はないと考えられます。●但し、類似団体平均と比較すると、指標は行政経常収支率を除いて劣位しています(2016年度決算)。●また、指標は総じて年々悪化傾向にあります。行政経常収支率の動向について(扶助費・物件費)●矢巾町の財政の特徴としては、行政経常収支率が低下傾向にあることが挙げられます。●この要因としては、社会福祉、児童福祉の充実・強化の支援を積極的に進めていることによるもの(扶助費の増加)、業務維持管理運営委託等の委託料によるもの(物件費の増加)が考えられます。悪い良い(年度)良い(月)悪い0.02.04.06.08.02007200820092010201120122013201420152016矢巾町類似団体平均矢巾町類似団体平均(%)(年度)0.05.010.015.020.025.02007200820092010201120122013201420152016良い悪い矢巾町類似団体平均10.711.111.214.515.014.716.017.519.320.43.23.84.04.34.34.55.15.86.16.87.37.17.010.010.59.910.611.513.013.30.05.010.015.020.025.02007200820092010201120122013201420152016扶助費うち社会福祉費うち児童福祉費(年度)(億円)10.09.711.110.716.512.414.712.913.414.20.62.64.66.68.610.612.614.616.618.62007200820092010201120122013201420152016物件費(年度)(億円)[扶助費]扶助費(社会福祉費、児童福祉費など)については、今後、高齢化率の上昇に伴い、扶助費の増加が見込まれるため、行政経常収支への影響について留意する必要があると考えられます。[物件費]物件費の増は、矢幅駅前地区整備(町の複合施設「やはぱーく」)の業務維持管理運営委託等の委託料が増加したことによるものです。今後の物件費の水準については、町の中長期の財政の在り方を検討するなかで、慎重な検討が必要であると考えられます。20 ファイナンス 2018 Jul.
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