ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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山陽小野田市の利用計画は「子育て世帯への支援」という国の政策にマッチするものであり、事業の必要性等も十分認められることから、同市に売却することを決定し、平成28年10月に売買契約を締結しました。4企業版ふるさと納税の活用山陽小野田市では、この子育て総合支援センターの整備・運営に地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を活用しています。企業版ふるさと納税とは、各地の地方創生の取組の実効性を高めるため、地方公共団体が作成する地域再生計画の趣旨に賛同した企業が、当該事業に対して寄付をし、その寄付をした企業に税額控除の措置をとるというものです。山陽小野田市はこの制度を活用するために民間企業からの寄付を取り付け、子育て総合支援センターの整備・運営にかかる地域再生計画を作成し、平成28年8月に内閣府の認定を受けています。5子育て総合支援センター「スマイルキッズ」の概要山陽小野田市は、国から土地、建物を取得後、建物内の改修工事を実施し、平成30年4月1日に子育て総合支援センターを開所しました。施設は、1階の大部分を乳幼児のプレイスペースとし、床にはクッション材を敷き詰めて安全に配慮したほか、遊具や絵本を配置し子供たちが楽しく遊べる工夫がなされています。また、キッズキッチンと名付けたスペースには幼児用の調理機器を備え、幼少期からの食育を推進するための多彩な講座を実施しています。2階には妊婦の保健指導や幼児健診を行うための相談室や多目的室などがあり、それぞれの部屋には子育てコンシェルジュ*、保健師、保育士、管理栄養士といった専門家が配置され、妊娠期から子育て期までの相談支援に関する機能を集約した施設としています。山陽小野田市はこの施設が子育て世代の気軽な相談、交流、憩いの場となり、多くの市民に親しんでもらえる施設となるよう施設の名称を公募し、愛称を「スマイルキッズ」と決定しています。6おわりに国の庁舎(土地・建物)がそのままの状態で「子育て総合支援センター」に転用された事例は全国的にも珍しいようですが、まさに国有財産の有効活用であり、地域のまちづくりに貢献できた事例といえます。今後も地方公共団体との連携を強化し、地域のまちづくりに配慮した国有財産の有効活用に取り組んでまいりたいと思います。*) 子育てコンシェルジュとは、子育て中の親や子育てに関係する者の様々な声を聴き、子育ての応援・手伝いをするほか、それぞれの家庭のニーズに応じた子育てに関する施設の案内やサービスの情報提供、相談、助言を行う専門の相談員のことです。写真2 1階プレイスペース(提供:山陽小野田市)写真3 1階キッズキッチン(提供:山陽小野田市) ファイナンス 2018 Jun.87連 載 ■ 各地の話題

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