ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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旧労働基準監督署の庁舎を子育て支援施設に転用中国財務局山口財務事務所管財課 主任国有財産管理官松山 大次郎山陽小野田市1はじめに山陽小野田市は山口県の南西部に位置し、古くから山陽道や山陰と山陽を結ぶ連絡路のある交通要衝の地として栄え、明治以降は日本初の民間セメント会社が創立されるなど、窯業・化学工業を中心とした工業都市として発展してきました。平成17年3月に旧小野田市と旧山陽町の合併により誕生した山陽小野田市では、旧小野田市の市街地であるJR小野田駅周辺と旧山陽町の市街地であるJR厚狭駅周辺を2つの都市核として拠点整備を図っています。今回は、JR小野田駅近隣に所在する旧小野田労働基準監督署の庁舎建物をそのままの状態で活用し、「子育て総合支援センター」として転用整備した事例をご紹介します。2子育て総合支援センター整備の背景山陽小野田市では、合併後の平成20年3月に策定した第一次山陽小野田市総合計画におけるまちづくりの基本目標で「暮らしの安心・安全を守るまちづくり」として「子育て環境の整備」を掲げ取り組んできました。そして、「山陽小野田市子育て総合支援センター基本構想(平成28年1月策定)」では、妊娠期から子育て期までの相談支援のワンストップ化を図る機能のほか、子供が様々な体験や活動に参加し、安全に過ごすことができる居場所づくりや保護者同士の交流を図ることができる総合的な子育て支援センターの設置を計画しました。さらに「山陽小野田市まち・ひと・しごと創生総合戦略(平成28年3月策定)」にも子育て世代包括支援センターの設置を掲げ、安心して子育てが出来る環境づくりを推進することとしました。山陽小野田市は、「ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定)」に市町村での設置の努力義務等を法定化することが盛り込まれたこともあり、子育て総合支援センター設置計画の実行を加速化することとしました。3山陽小野田市への売却決定旧小野田労働基準監督署は、全国的な労働基準監督署の組織再編に基づき統廃合の対象となり、平成21年に廃止されましたが、JR小野田駅や主要道路にも近い利便性が高い場所に所在していたことに加え、庁舎建物は築15年程度しか経過しておらず、さらに耐震化も図られていました。山口財務事務所が山陽小野田市に対し、あらゆる機会を捉え積極的に本財産活用の魅力を丁寧に説明したところ、同市は庁舎建物を有効活用することで、低コストでかつ早期の施設整備が可能と判断し、本財産の取得を要望しました。写真1 子育て総合支援センター(提供:山陽小野田市)86 ファイナンス 2018 Jun.連 載 ■ 各地の話題

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