ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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に相当します。また、注意すべきことは、赤字を解消したとしても、これは単年度の財政が改善するだけで、今まで積み上がった借金が、それで消えていくということではありません。また、消費税率の限界ですが、諸外国では20%を超える消費税を導入している国はたくさんあり、今のところ、理論的な限界を想定する必要はないのかもしれません。ただ、増税が景気にどのぐらいブレーキをかけるか、又は、国民の理解が得られるのかというところは非常に繊細な問題です。消費増税をすると経済的弱者の負担増になることについて、消費税には逆進性があるとよく言われていて、このことは私たちも本当によく考えています。来年10月の消費税率10%への引上げの際は、食料品などを8%に据え置く「軽減税率制度」を実施することとし、低所得者の人にしわ寄せがいかないよう、配慮しています。財政に関する総論 財政に対する世代間の 認識のずれについて財政再建が進まない理由の1つに、選挙で若者世代よりも高齢者世代の投票率のほうが高く、その得票の多数を占める高齢者が増税にあまり賛同していないからと言われている。社会保障や国債残高が年々増加し、財政が悪化していることについて、高齢者は本当に問題視しているのか疑問に思っている、との意見があった。[長峯大臣政務官から]財政再建を高齢者の方々がどう受けとめているのかということですが、これは私が政治家として、自分の有権者の方々と話すときに、高齢者の方で、子どもや孫に負担を残していいという人は1人もいません。皆さん、わかっていただいています。ただ、自分の生活費を削られるのは困るというのは、これは高齢者に限らず、人間誰しもそういうものがありますので、そういった点も含めて、財政再建を行っていくというのは非常に心を砕いているところです。逆に、若い世代の人たちが、もっと声を上げてもらって、財政再建をしてもらわないと俺たちは困るんだということの声が、もっともっと表に出てくるようになると、また政治のバランスというのが若い方のほうにずっと移っていくのかなという気はしています。財政に関する総論 膨らみ続ける国の借金について日本の公債残高は約800兆円にのぼり、国民1人あたり約700万円の借金があると言われているが、国債は政府の借金であって、国民は貸し手であると考える。それが何故、国債は国民の借金のように語られているのか、また、国債は増える一方で、他国からの信用が悪化してもおかしくない状況だが国債の償還は可能なのか、という膨らみ続ける国の借金への不安の声が寄せられた。[長峯大臣政務官から]国債というのは政府の借金のはずなのに、何で国民の借金と呼ばれるのかということですが、借金をしている相手の大半が日本人である、これは事実です。日本人の貯金、金融資産、これを政府が借りているということになっていますから、日本人が政府に貸しているということです。ただ、この貸している側の日本人は全員ではないですよね。金融資産をたくさん持っている人や法人であって、日本人全員ではないです。しかし、政府が背負った借金を最終的には税金で返さなければならないのは日本人全員です。そういう意味では、国民1人当たりの借金という捉え方をするほうが、より現実に近いと思います。 ファイナンス 2018 Jun.5長峯大臣政務官が訪問車座ふるさとトーク at 信州大学特集

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