ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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連載 各地の話題職員「一丸」による 地方創生丸森町 商工観光課 主事横山 達丸森町1丸森町の特徴宮城県最南端に位置し、福島県に接する丸森町は、北部を貫流する東北第二の大河である阿武隈川の舟運と農業、恵まれた自然と文化を活かした観光を主産業に発展してきました。人口は約1万4,000人で、子ども・若年世代を中心に人口減少が続いており、それに歯止めをかけようと、企業誘致や起業支援による雇用の創出、子育て世代が暮らしやすい環境づくりによる定住支援に力を入れています。これら、持続可能な地域社会の維持を目指す地方創生の取り組みを、本町では、ボトムアップでの政策立案を推奨する行政運営姿勢、オープンイノベーションによる民間との連携、そして移住者を快く受け入れる開かれた町民気質によって、加速的に進めています。2「CULASTA」プロジェクトで、地域の新しい価値と事業を創造東日本大震災後、宮城県と足並みを揃えた企業誘致活動により、製造業5社の立地・工場開設に成功。さらに雇用の場の確保を進めるため、起業の促進に取り組みはじめました。江戸後期から7代続いた地元の豪商・齋藤理助の屋敷を改装した郷土館「齋理屋敷」内の蔵を活用し、2015年8月に起業サポートセンター「CULASTA(クラスタ)」を開所。CULASTAは集合を意味する英語のクラスターと「蔵」の造語で、「蔵からスタートする」の意を込めています。様々な人と発想が出会ってつながり、地域の価値を磨き、伝えることで、「新しい価値を創造する」オープンイノベーションのまちを目指しています。コワーキング機能を持ったCULASTAを拠点に、事業展開を図るベンチャー企業が現れており、積極的に連携を行っています。具体的には、ICT事業の地方移転などに取り組む企業や、インフラ工事等を行う企業等の地域で実施する事業を積極的に受け入れ、連携協定やパートナー協定を締結し、官民連携による取り組みを行っています。これにより、行政単独では得ることができない大きな効果を、スピード感を持って実施しています。写真1 丸森町起業サポートセンター「CULASTA」3積極的な情報発信「CULASTA」プロジェクトと並行して、町内や近隣地域の起業志望者やベンチャー企業の動きが活発化し、若い世代を中心に新たなビジネスが生まれはじめました。2017年3月には、観光ベンチャー企業との連携により、一般社団法人宮城インバウンドDMOが設立され、丸森町を本部に、宮城県南4市9町を対象エリアにした外国人旅行客誘致事業を開始。2017年4月には、移住定住サポートセンター84 ファイナンス 2018 Jun.連 載 ■ 各地の話題

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