ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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(2)貧富の差の激しい首都プノンペン現在、私は首都プノンペンに住んでいますが、カンボジアでもプノンペンと地方は別の国のような有様です。すなわち、カンボジアの地方モンドルキリ州には野生のゾウのほか、野生のトラが10~15頭棲息している一方、プノンペンは高層ビル、アパート(当地ではどんな豪華でもマンションという言葉は使いません)が林立し、常に高層ビルの建設ラッシュです。さらに、高さ600メートル、133階に相当するツインタワーの建設も予定されています。街の生活を見ると、超大金持ちと超貧乏の両極端な人間生活が同居しています。ペットボトルを集めて生活している人のほか、日本ではあまり見かけなくなった物乞いの人を見かけることもあります。小学生位の子供たちも、信号待ちの車の埃を取ってお金を要求したりと生きるのに必死です。家がなく、道路脇の木にハンモックをくくり付けて夜を過ごす人もいます。一方、半端ない超高所得者もよく見かけます。プノンペンの車の約3割近くがLEXUSですし、日本ではあまり見かけないロールスロイスやフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェなどがよく疾走しています。皆さん、プノンペンでこれら高級車が走っている姿を想像できますか? 街には、フランス料理店、イタリア料理店、ドイツ料理店、ロシア料理店などが多く見られるほか、日本食・日系レストランも約150件あります。特に2016年9月にANA(全日本空輸(株))が成田・プノンペン間の直行便を就航してからは、何と築地直送の取れたて魚介類も食べられるようになっています。ANAさまさまです。実際に、プノンペンでは多額の生活費がかかり、所得水準も地方に比べ高いのが実情です。2015年の可処分所得(月額)は、カンボジア全土402ドル、プノンペン市内731ドル、地方330ドルとなっており、プノンペンでは地方の2倍以上の生活費が必要です。(3)Q&Aコーナー「郷に入らば郷に従え」ですが、カンボジアの郷になじむために、私が驚いたことを実体験と統計データをベースにQ&Aにしてみました。チャレンジしてみて下さい。もし全問正解の方がいらしたら、既に立派なカンボジア人です。Q1.スマートフォンは使えるでしょうか?A1.2016年のスマートフォン普及率は96%に達し、カンボジア人にスマートフォンなしの生活は考えられません。全てSIMフリーで、多くがデュアルSIMです。私の友人の多くは電話用とデータ通信用の2台保有しています。また、プノンペン市内のほとんどのレストランでは、Free Wi-Fiが繋がります。但し、セキュリティという概念がほぼなく、日本の役所では考えられませんが、重要な公文書のやり取りも便利だということで政府が推奨し、スマートフォンアプリを通じやり取りされています。なお、使用料は非常に安価で、私が使っているiPhoneの場合、週1ドルで、月4ドルと非常に安価です。但し、iPhone(SIMフリー)機種代金は日本とほぼ同じですが、ひったくりの一番のターゲットになっており、注意が必要です。Q2.オートバイを乗るのに免許は必要でしょうか?A2.原則として必要ですが、2016年の法改正で125cc以下のオートバイに対する免許は不要になりました。更に運転可能な年齢もこれまでの16歳から15歳に引き下げられています。Q3.交通は安全でしょうか?A3.危険です。交通法規はほとんど放棄されていて、1台のバイクに6人乗っていたり、ノーヘルは日常茶飯事です。点滴をしながら運転している人、戸1枚分の大型透明ガラスを顔の前に立てて運転している姿を間近に見た時は、「???」でした。更にバイク、乗用車の逆行も普通です。交写真1 プノンペン市内の林立する高層ビル・アパート76 ファイナンス 2018 Jun.連 載 ■ 海外ウォッチャー

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