ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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新潟に「上高地」が?山岳景勝地として説明するまでもなく有名な「上高地」。最近でも、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する「山の日」が施行した平成28年には、記念する第一回全国大会が開催されました。この8月11日の山の日イベントは今年も上高地で開催されるそうです。この「上高地」、長野県松本市にあるのですが、実は新潟県にもあるんです。糸魚川市の海うみ谷だに渓けい谷こくは、「越後の上高地」と呼ばれています。大規模な地すべりにより海川(糸魚川市を流れる川)がせき止められ、土砂で埋め立てられてできました。断崖絶壁を背景に海川が流れる渓谷です。春は新緑、秋は透き通った青空に赤や黄色の彩りが息をのむほど素晴らしく、その風景と成り立ちが長野県の上高地に似ていることから「越後の上高地」と呼ばれています。上高地を世界に紹介したウォルター・ウェストン。イギリス人宣教師ウェストンは、明治29年に著した『日本アルプス登山と探検』の中で、自ら登った北アルプスをはじめとする日本の名峰を世界に紹介。信仰・修行、狩猟等の生活目的だった日本の登山をレジャーとして日本人に知らしめた彼の功績は「日本近代登山の父」とされているそうです。また、親おや不しらず知(糸魚川市)が日本アルプスの起点であるとして、訪問しています。そのウェストンの功績にちなんで、例年上高地では「ウェストン祭」、糸魚川市では「海のウェストン祭」が開催されています。日本の国石はなに?ちなみに、先ほど紹介した海谷渓谷を含む糸魚川は、平成21年、日本で初めての「世界ジオパーク」に認定されました。ユネスコの正式プログラムである世界ジオパークは、貴重な「地質の宝もの」やその地域の自然・文化を守り、かつ多くの人に知ってもらう・訪れてもらうことを目的としています。ちなみに、糸魚川に24カ所あるジオサイトはヒスイにまつわるところが多いです。糸魚川は日本随一のヒスイの産地。糸魚川のヒスイは約5億2,000万年前にできた世界最古のヒスイで、約5,500年前の縄文時代から大珠やまが玉などの装飾品に加工して交易したヒスイ文化発祥の地と言われています。そして、平成28年には、ヒスイが日本の国石に認定されたのです。長くなりましたが、なんとなんと、海岸であれば誰でもアポなしでヒスイ探しができるのです! 昨年の夏、家族で糸魚川市に訪れましたが、子供達が大はしゃぎ。次の予定はお構いなしに、「ヒスイって透明感の混ざった白と緑だよね?」と言いながら海岸の石を探していました。実際は、イメージするヒスイにそっくりな石でもヒスイではなかったりするのですが、とてもワクワクするひとときです。富山県との県境に分布していますので、富山県朝日町の海岸でもヒスイ探しができます。フォッサマグナミュージアムで、様々なヒスイの展示や、実際に鑑定サービスもしてもらえます(もちろん、貴重な資源を将来に残すため、大きなものを持って帰るというよりは、探す楽しみをメインにする心がけが大切です)。1年半前に大火があった糸魚川では、復興計画が策定され、街作りを行っていくところです。ぜひ、太古からの歴史や塩の道に想いをはせに訪れてみませんか。隣接する上越市では、日本海の夕日が一望できる大水槽や360℃水中トンネルを備えた水族館「うみがたり」がいよいよ6月26日にオープンします。 ファイナンス 2018 Jun.61ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?連 載 ■ ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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