ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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て、市民等の出資による太陽光発電のコナン市民共同発電所を設置し、地域の自然エネルギーから得られる売電益で地域商品券を発行し、その活用により域内の経済を循環させて地域活性化を図っています。また、2016年に市と民間企業の共同出資により地域新電力会社「こなんウルトラパワー」を設立しました。湖南市の自然エネルギーの取組の特徴は、単なるエネルギー分野の取組にとどまらず、市民、地元企業、行政などが連携した地域循環システムの構築を目指しているところにあり、2017年度には「第1回自治体政策評価オリンピック」の先進事例選定や「新エネルギー大賞」の新エネルギー財団会長賞受賞など高い評価を受けています。イ.JK課湖南市では、若い世代、特に女性の転出超過が大きな課題となっており、若い世代が湖南市に愛着を持ち、定着してもらうことが重要であると考えています。こうした状況にかんがみ、先進事例の福井県鯖江市を参考に、高校生のまちづくりへの関心や参加を促進する観点から2016年8月に「湖南市役所JK課プロジェクト」を始動しました。市内在住・在学の女子高校生からなるJK課は、結果・成果にとらわれず自由な発想でやりたいことをやってみる、市役所は大人の常識や価値観を押しつけずメンバーのやりたいことを全力でサポートするという方針で活動しております。始動当初は何をしていいのか手探りの状況でしたが、市役所内外にJK課との連携のお声掛けをさせていただいたところ、徐々に連携のオファーがくるようになりました。JK課は、オファーは聞くけどやりたいことは自分たちで決め、週に1、2回放課後に市役所に集まりお菓子を食べながら自由に活動内容について話し合うことによりさまざまな取組を進めてきました。これまで、湖南市三大まつりなどのイベントでのJK課のPR活動やオリジナルスイーツの販売、ラジオ番組出演、警察関係の交通安全イベント出演、オリジナル給食づくり、エイプリルフール動画制作などの活動に取り組みました。例えば、反響の大きかったエイプリルフール動画制作では、JK課が市役所を乗っ取りJK市長になり湖南市を「こにゃん市」に改名するというユーモラスなストーリーを考案・撮影し、若者らしい感性で湖南市をPRしました(2年間で約10,000アクセス獲得)。発足当初は「JK課」というネーミングから多くの批判もありましたが、今年度で3年目を迎えるJK課は、イベント・動画での市のPRやイラスト作成など、女子高校生ならではの自由で斬新な発想によるまちづくり活動を行ってきており、市民の間にもJK課の活動が理解されつつあります。JK課イメージウ.政策コンテスト湖南市の課題である若者の転出超過に対応するため、2017年度に若者が湖南市の未来について考え、政策提言をしていただく政策コンテストを開催しました。公募で集まった9チーム約40名の参加者が、9月のキックオフからの2か月間で、市の特徴や政策について学び、市の課題を整理するために調査を行い、未来の市長になったつもりで政策をまとめ市長や市民の前で政策提言を発表していただきました。観光振興、子育て支援、空家活用などさまざまな分野の政策提言があり、市民の投票により地域金融機関のチームが提案した農業生産工程管理(GAP:Good Agricultural Practice)に関する政策が最優秀賞に選ばれました。GAPとは安全でよりよい農産物を持続的に供給する観点から、従来の結果管理に基づく品質保証に代えて生産工程管理に基づく品質保証を行う制度で、東京オリンピック・パラリンピック選手村での食材提供の条件となることから、近年注目を集めています。政策提言を受けて、2018年度予算においてコナン市民共同発電所 ファイナンス 2018 Jun.55地方創生の現場から【第2回】

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