ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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り、上山産のぶどうを使った国内大手ワイナリーのワインが、ワインコンクールで高く評価されたりするなど、ワインの産地として人気急上昇中であることからご納得頂けることかと思います。このような背景があることから、地元をワインで盛り上げようという機運がもともとあったところです。県内外から5,500人もの参加者を動員するイベント「やまがたワインバルinかみのやま温泉」はこれまでに4回開催され、本市本県はおろか東北の有望イベントに成長しています。また、市商工会や金融機関が主導で市内を巻き込みワインミーティングも開催されたことがあります。また、「かみのやま産のワインによる乾杯を推進する条例」といったユニークな条例も施行されており、実際に市内で懇親会を行う際はワインで乾杯しています。更に、日本ワインが注目を受け、国内需要が高まりワイン用ぶどう不足が叫ばれるなどワイン関連産業に追い風が吹いている状況です。酒どころやまがたにおいて、本市には日本酒の造り酒屋はございませんが、ワインだけは!との情熱のもと、民間・行政問わず市一丸となった「かみのやまワインの郷づくり」を目指しており、県内、そして東北最先端の気概を持って取り組んでいます。エ クアオルト かみのやまなお、ワイン以外にも、2018年度には東北中央自動車道かみのやま温泉インターが供用開始になるほか、市民の健康増進と交流人口の拡大を目的に、企業連携を始めとした多岐にわたる事業を展開している上山型温泉クアオルト*2事業は、市内外において着実に広がりを見せています。*2) ドイツ語で高品質な健康保養地の意味。健康・観光・環境を3つの柱とし、自然 環境や温泉、食などの本市独自の地域資源を活かして、市民の健康増進と交流人口の拡大による地域活性化に取り組みながら、心と体がうるおう健康保養地を目指すまちづくりのことです。*3) 2014年5月、日本創成会議・人口減少問題検討分科会から「ストップ少子化・地方元気戦略」が出され、この報告書でいわゆる「消滅可能性都市」が公表されました。消滅可能性都市とは、若年女性(20~39歳の女性人口)が2040年に5割以上減少する市区町村です。報告書では、「若年女性が高い割合で流出し急激に減少するような地域では、いくら出生率が上っても 将来的には消滅するおそれが高い」としています。筆者は現在、内閣官房の地方創生人材派遣制度により2016年度から2018年度にかけて本市に派遣されており、このようなエネルギー溢れる場所で勤務するという貴重な経験に恵まれています。(2)まちの抱える課題ア 人口減少・消滅可能性都市わが国の総人口は総務省統計局によると、1億2,670万人(2018年12月1日現在(確定値))で、2004年をピークに減少し続けておりますが、本市においても、総人口は1960年の40,383人をピークとして、1985年頃から年少人口と生産年齢人口が減少し始め、その後総人口の減少が始まりました。また、日本全体の高齢化率を10ポイントほど上回る37%の高齢化率となっています。本市においては今後、年少人口や生産年齢人口に加え、老年人口も早晩に微増から減少に向かうと推測され、人口減少はさらに加速すると見込まれます。2018年1月末現在で本市総人口は30,860人ですが、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2023年の人口は、28,055人となることが見込まれています。7,796(20.2%)7,796(20.2%)7,510(19.3%)7,510(19.3%)6,571(17.2%)6,571(17.2%)5,780(15.2%)5,780(15.2%)5,008(13.6%)5,008(13.6%)4,450(12.4%)4,450(12.4%)3,776(11.2%)3,776(11.2%)3,314(10.4%)3,314(10.4%)3,145(10.0%)3,145(10.0%)2,633(9.0%)2,633(9.0%)2,284(8.4%)2,284(8.4%)2,009(8.0%)2,009(8.0%)1,811(7.9%)1,811(7.9%)1,632(7.8%)1,632(7.8%)25,848(67.1%)25,848(67.1%)25,725(66.3%)25,725(66.3%)24,849(65.0%)24,849(65.0%)23,956(63.0%)23,956(63.0%)22,482(60.9%)22,482(60.9%)21,306(59.2%)21,306(59.2%)19,455(57.5%)19,455(57.5%)17,677(55.3%)17,677(55.3%)17,267(54.7%)17,267(54.7%)15,342(52.2%)15,342(52.2%)13,749(50.6%)13,749(50.6%)12,443(49.7%)12,443(49.7%)11,211(48.9%)11,211(48.9%)9,951(47.7%)9,951(47.7%)4,889(12.7%)4,889(12.7%)5,587(14.4%)5,587(14.4%)6,817(17.8%)6,817(17.8%)8,308(21.8%)8,308(21.8%)9,391(25.5%)9,391(25.5%)10,256(28.5%)10,256(28.5%)10,600(31.3%)10,600(31.3%)10,965(34.3%)10,965(34.3%)11,165(35.4%)11,165(35.4%)11,398(38.8%)11,398(38.8%)11,140(41.0%)11,140(41.0%)10,572(42.2%)10,572(42.2%)9,901(43.2%)9,901(43.2%)9,264(44.4%)9,264(44.4%)38,53338,53338,82238,82238,23738,23738,04738,04736,88636,88636,01336,01333,83633,83631,96131,96131,57831,57829,37429,37427,17427,17425,02425,02422,92322,92320,84720,84705,00010,00015,00020,00025,00030,00035,00040,00045,0001980(昭和55年)1985(昭和60年)1990(平成2年)1995(平成7年)2000(平成12年)2005(平成17年)2010(平成22年)※20142015(平成27年)2020(平成32年)(平成26年)2025(平成37年)2030(平成42年)2035(平成47年)2040(平成52年)年少人口生産年齢人口老年人口(人)現在のところ、いわゆる「消滅可能性都市」*3に該当しており、本市では、人口減少をいかに抑制するか、この問題を真剣に考える時期に来ていることは間違いありません。「上山市まち・ひと・しごと総合戦略」や「上山市第7次振興計画」が着実に実行され、消滅可能性都市からいち早く脱却することが急務となっています。 ファイナンス 2018 Jun.51地方創生の現場から【第2回】

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