ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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「地方創生人材支援制度」は、地方創生に積極的に取り組む自治体(原則人口5万人以下)に対し、国家公務員や大学研究者、民間人材を、市町村長の補佐役として自治体に派遣する制度です*1。本連載では、2016年度から2017年度に財務省から各地に派遣された7名から、現地の概況や地方創生の取組について紹介します。*1) まち・ひと・しごと創生本部地方創生人材支援制度HP https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/about/jinzai-shien/index.html地方創生の現場から【第2回】ワインを起爆剤にして上山市役所 農業夢づくり課長 藤田 大輔1 派遣自治体の概要(1) 山形県上山(かみのやま)市を ご存知でしょうか。ア かみのやま温泉開湯560年余りの歴史を誇る「かみのやま温泉」は上山城の城下町として、また、羽州街道の宿場町として栄え、城下町の風情が今もなお息づく温泉地です。また、山形新幹線を利用すれば、東京駅から乗り換えなしで2時間半、自動車では仙台市から1時間半と、アクセスはとても良好です。イ 果物の宝庫 かみのやま地理的には山形県の東部にある村山地方の最南端に位置し、総面積241km2のおよそ70%が急峻な山岳地帯であり、蔵王連峰などの山々に囲まれた盆地です。暴風雨等は稀で気候的には恵まれ、果樹生育期(4~10月)の雨量は669.8mm程度と少なく、かつ、昼夜の寒暖差が大きいため、良質な果物の生産に大きく寄与しています。そのため、さくらんぼやぶどう、ラ・フランス、柿(干柿)などおいしい果物の宝庫です。ウ ワインの郷 かみのやま本市は、生食ぶどうだけではなく、技術の高い生産者を抱えるワイン用ぶどうの主力生産地であり、もちろんワイン醸造に関しても長い歴史と高い技術がある地域です。それは、国際的な会議の食事会などにおいて市内ワイナリーで醸造されたワインが振舞われた50 ファイナンス 2018 Jun.

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