ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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促進、(8)民間資金の動員、(9)ナレッジ機関としての役割強化、(10)“stronger, better and faster ADB”の構築を重点事項として挙げた。(3)ビジネスセッション(各国の総務演説)5月5日(土)の午後に開催されたビジネスセッションでは、ドミンゲス比財務大臣の議事進行の下、加盟各国の総務による演説が行われた。日本からは麻生大臣が演説を行い、ADBがインフラを引き続き主要な支援分野としつつ、保健などの社会セクターについても積極的に関与していく方向性を打ち出していることを歓迎するとともに、支援のメリハリ付けも重要であることを強調した。また、高中所得国向けの支援について、量から質への転換を図り、環境問題などの国際公共財などに重点化していくべきであること、特に卒業所得基準に達した国々については、金利の差別化も図りながら、こうした量から質への転換や支援分野の重点化をより大胆に目指すべきことを指摘した。さらに、前日の総務セミナーで表明した「質の高いインフラ投資」を更に推進するための新たなイニシアティブについて改めて説明した。3終わりに本年の年次総会では、日本として、「質の高いインフラ投資」を更に推進するための新たな提案等を通じ、アジア・太平洋地域を含めグローバルに良質なインフラ投資を促進し、持続的成長に貢献していく考えを示した。また、ADBが、過去50年間で培った経験や加盟国との強固なパートナーシップといった付加価値を最大限に活かしつつ、地域の発展に寄与する中核機関として重要な役割を果たし続けることへの強い期待を表明した。こうしたメッセージの発信は、我が国がアジア・太平洋地域における重要な開発パートナーであり続けることを示す意味で大きな意義があったと考える。文中、意見にわたる部分は、筆者の個人的見解である。参考:麻生大臣の演説の全文は、以下のURLに掲載。https://www.mof.go.jp/international_policy/mdbs/adb/2018st.htm( 以 上 )総務セミナーの様子ビジネスセッションで発言される麻生大臣 ファイナンス 2018 Jun.31

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