ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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5「サービス収支」の新しい潮流サービス収支は、訪日外客数の急増やロイヤリティの受取拡大に伴い、黒字転換も視野2013年から段階的に導入されたビザ緩和、2014年の消費税免税制度の拡充なども後押しし、訪日外客数は急増している。訪日旅行者による財貨・サービスの消費拡大が貢献し、2015年には旅行収支が黒字転化した。その後も継続的に黒字幅は拡大している。また、日本企業の積極的な海外投資も背景に、産業財産権等使用料(ロイヤリティ)の受取が拡大していることから、サービス収支を構成する「知的財産権等使用料」も黒字幅が拡大している。これらを背景に、サービス収支は赤字幅の縮小を継続(図11)。サービス収支全体として、月次で黒字となる月も出てきており、年次ベースでの黒字転換も近い将来起こり得るであろう。6国・地域別でみた貿易と投資イ) 過去20年間、継続的に貿易黒字の太宗は、対米国、アジア(除く:中国)、EUであり、経常赤字の大半は、対中東、中国貿易収支では、米国、アジア、EUに対し黒字である一方、中国、中東や大洋州に対しては赤字である。ここ数年、米国、アジアに対する黒字額に大きな変化は見られないが、中国に対しては、半導体製造装置等の輸出拡大などを背景に赤字額が減る傾向が見られる。また、対中東では、原油価格の騰下落により輸入額は左右される傾向がある(図12)。(図11)サービス収支(ネット)の推移05001,0001,5002,0002,5003,0003,500-8-6-4-202461996199719981999200020012002200320042005200620072008200920102011201220132014201520162017輸送旅行知的財産権等使用料その他サービス収支訪日外客者数(右軸)(万人)(出所)財務省「国際収支統計」、日本政府観光局(JNTO)(兆円)(図12)地域別貿易収支の推移-30-25-20-15-10-5051015202530対米国対中国対アジア(中国除く)対EU対中東対大洋州対中南米その他貿易収支(合計)(注)2014年よりIMF国際収支マニュアル第6版に準拠。(出所)財務省「国際収支統計」(兆円)201720162015201420132012201120102009200820072006200520042003200220012000199919981997199622 ファイナンス 2018 Jun.

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