ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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て生産されているためコストが高いが、CFP工法で生産することができれば低コストで高性能な減速機を色々な市場に提供できるのではないかと考えている。その中で同社がチェレンジしていることは、減速機の生産工程においては、設計・金型設計・プレス加工・性能評価とあるが、全てのプロセスを自社で行うことができるような体制づくりに取り組んでいる。本社敷地内には、駐車場の地下11メートルに作られた天井高5メートルの金型工場「夢工場」がある。地上の工場は地下工場で作られた金型を使用して製品を量産している。地下工場については、地下は地上に比べて低振動であり、金型を作る環境というのは、振動があると加工時の形状精度に影響を与えるので、特にプレス加工のような振動が発生する地上工場の近くに金型工場を作るのは望ましくなかったためとのこと。また、日本はどこの地域でも地震があるが、万が一地震があった時でも地上よりリスクが低いといわれており、リスクマネジメントの1つでもある。さらに、金型加工には「恒温室」が必要であり、同社工場では23℃の±0.3℃を24時間365日保っている。金属加工では温度変化が精度に影響を及ぼすので、一定環境の下で機械を使わなければ安定した金型ができない。その点で、塩尻では地上でいうと夏冬の寒暖差が50℃にもなるが、地下ならば年間10℃の温度変化しかない。温度維持のためのコストを考えれば地下工場は初期投資はかかるものの、長期的にはコストが抑えられるという判断により、2012年に完成した。地下11メートルの工場内。真っ白な空間が広がっている。製品を手に取りながら説明を受ける長峯大臣政務官。地下工場の金型製造機器を見学。写真左から、白井専務取締役、長峯大臣政務官、 平林代表取締役社長、浅野関東財務局長。10 ファイナンス 2018 Jun.長峯大臣政務官が訪問車座ふるさとトーク at 信州大学特集

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