ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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ようにしています。企業業績が最高の状況となる中、その儲かったお金を社員の給与や設備投資という形で世の中に出していこうと政府としては色々な仕組みを作って努力しています。また、日本のライバルである他の先進国がみんな法人税を下げて競争するかのようになっているのですが、これは良くないということで、G7やG20などで麻生大臣がちゃんとルールを作ろうと提案しながら、国際社会で色々と議論をしているところです。その他 AIに関連した予算措置や 人材育成について「AIを制する者は世界を制する」という言葉に代表されるように、現在、世界各国、米国や中国を中心に、各国はAIの開発に多額の予算を投じたりするなど熾烈な開発競争を繰り広げている中、日本のAIに関する政府予算は米中と比べ規模が小さく、このままでは日本がAIの開発競争で取り残されるのではないか、もっと政府が積極的な財政投資や民間投資しやすい環境整備を行うべきではないか、といった意見のほか、AIの発達によって、仕事を取られて失業する人も出てくる可能性があると思うが、AIにとって変わられない人材を育てるにはどうしたらよいか教えてほしい、といった質問があった。[長峯大臣政務官から]AI開発にもっとお金を使った方がいいというのは、そのとおりだと思います。日本の主要企業の将来の行く末を決めるというぐらい大事な分野ですので、日本も頑張って予算を増やしています。米中とのAI予算の比較ですが、予算のベースが各国で異なっている可能性があり、単純な比較は難しいですが、日本は予算以外にも減税でも支援していて、実は対GDP比でみても外国と遜色ない水準です。また、AIが仕事を奪って失業者が増えるんじゃないかという心配ですが、非常に多く言われていることですが、本当のところどうなるか分からないです。でも、例えば、100年前に車が発明された時に飛脚とか馬車を引いていた人とか、みんな失業したわけですが、その失業は今日には残っていないですね。みんな他の仕事に移っています。人間というのは、新しい夢や欲望に従って、どんどん新しい仕事を生み出していきます。例えば、15年前にはスマホのゲームを作る仕事なんて、ほとんどなかったですよね。皆さん自身も、今この世に存在していない仕事を将来しているかもしれません。AIによって要らなくなる仕事もあるけれども、同時に新しく人が必要になる仕事も必ず出てくると思います。ただ、そういった時代には、理系のスキルや問題解決能力といったものが必要になります。皆さんの授業スケジュールを見ましたが、ちゃんと自分で課題設定して、その問題を調べて解決していくというもので、素晴らしいです。そういう能力を信州大学で学んでほしいと思います。今日はありがとうございました。そのほかにも、事業承継税制、加熱式たばこの税率引き上げ、防衛予算、スポーツ関連予算、高齢者や女性の社会参画など様々な質問や意見があった。「車座ふるさとトーク」を終えて色々な質問があり、またその質問の中にいっぱい意見があり、私自身大変勉強になりました。若い方が一生懸命に勉強して、日本の財政のことを考えているということは大変心強く感じました。今はソーシャルネットワークがあるので、財政を勉強している学生さん同士のネットワークを作って、色々な意見を集約し、意見表明をしてもらうと面白いのではないでしょうか(長峯大臣政務官)。8 ファイナンス 2018 Jun.

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