ファイナンス 2018年6月号 Vol.54 No.3
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また、国債の償還については、国民の皆さんが将来不安を抱かないように、プライマリーバランスの黒字化という目標を掲げており、今回、目標達成時期を少し変更するということにはなってきますが、財政再建をやるんだということは全く変わっていませんので、しっかりと健全財政を目指して進んでいきたいと思っています。財政に関する総論 経済再生と財政健全化について経済再生と財政健全化について、財政再建だけに目を向けて増税すると景気停滞などの弊害が起こり、結果として財政再建自体が難しくなるのではないかという意見と、アベノミクスで賃金が増えても、財政不安などによる将来の先行き不安から消費が伸びず、経済再生が思うようにいかず、財政再建の見通しが立たないので、経済再生よりまず財政再建に取り組むべきではないか、という政策の順番について意見があった。[長峯大臣政務官から]経済再生と財政再建の順番ですが、これは両方です。経済再生をやるために借金が増えては本末転倒で、一方、財政再建によりものすごく不景気になっては税収が減る。だから今は両方しっかりと車の両輪としてやっていくことになっています。今、両方を追い求めることで、経済は良くなっていますし、財政健全化への目標は1つ1つクリアしてきています。社会保障 年金について年金については、少子高齢化社会における年金制度の持続性を踏まえ、受給できる年齢を引き上げることや、受給額を減らすということは考えているのか。また、現在の賦課方式では世代間の不公平が問題となっているため、インフレなどの影響を調整して積立方式とすることは可能か。[長峯大臣政務官から]受給開始年齢の引き上げですが、実は、日本で厚生年金制度がスタートした時、受給開始は55歳でした。今は65歳まで年齢を上げている段階です。また、受給開始を遅らせる選択もできる仕組みになっていますが、さらに受給年齢を全体で引き上げる場合は、収入が突然なくなると困りますから、定年も引き上げることを考えていかないといけません。また、受給額については、年金の保険料収入を予め固定し、その範囲の内で支給するよう年金制度自体は自動的に調整される制度になっています。また、ある程度の収入以上の人は年金がちょっと減るようになっていますが、これについては見直しの検討を始めています。賦課方式と積立方式の問題はいい指摘ですね。しかし、方式を切り替えるとなると、今まで払ってきた人が、もう1回自分の積立額を払うことになる、いわゆる「二重の負担」という、ものすごい大きな問題があり、技術的にも難しいです。社会保障 医療費や介護費の抑制について医療費、介護費などの増加については、少子高齢化だけが原因ではなく、医療の技術の進歩も原因の1つに挙げられる。医療の技術の進歩に対して、医療費を下げるために、ジェネリック医薬品の推奨以外に何か進めているものがあるのか、また、医療費増大の解決策の1つで健康寿命を延ばすことが必要と聞くが、健康寿命を延ばすことで医療費はどれくらい削減できるのか、といった質問のほか、高齢者人口が増えることが注目されているが、長期的にみれば、減少に転じる6 ファイナンス 2018 Jun.

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