ファイナンス 2018年5月号 Vol.54 No.2

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企業のライフステージに応じて事業者の資金繰りを支援することも、政策金融の重要な役割であり、特に日本政策金融公庫においては、創業・新事業、事業再生・事＊4） 高齢者や障がい者の介護・福祉、子育て支援、地域活性化、環境保護等、地域社会が抱える課題の解決に取り組む事業をいう。＊5） 2018年3月時点で、これまで計3回実施（2015年11月25日、2016年12月16日、2018年1月19日）。業承継、ソーシャルビジネス＊4、海外展開及び農林水産業の新たな展開等の成長戦略分野における支援に積極的に取り組んでいる（図表7）。図表7　 企業のライフステージに応じた日本政策金融公庫の特別貸付制度（例）創業期成長期衰退・再生期資本性ローン（新事業型）企業再建資金海外展開・事業再編資金安定・成熟期海外展開・事業再編海外展開・事業再編事業再生経営改善●新たに開業しようとする者●事業を開始して間もない者●経済の構造的変化に適応するために海外展開をすることが経営上必要である者 等●取引金融機関の支援を受けて企業再生を図る者●認定支援機関による経営改善計画策定支援業を利用して経営改善に取り組む者 等利益・売上時間新規開業資金新創業融資制度新事業開拓新事業育成資金●新しい技術の活用等により、新事業分野の開拓等を行う者資本性ローン（再生型）●民間金融機関が提供しにくい資金を提供することで、中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援するとともに、民間融資の呼び水となる効果。政府系金融機関は、コンサルティング機能をはじめとした、様々な経営資源を活用したサービスの強化にも取り組んでいる。日本政策金融公庫では、各地域の創業支援機関（自治体、商工会等）と連携して「創業支援ネットワーク」を構築し、創業手続、専門知識、資金供給等の支援をワンストップで提供することに加え、国内農産物の展示商談会「アグリフードEXPO」を開催し、農業者や食品製造業の方々に、広域的な販路拡大の機会を提供したり、中小企業者向けに金融機関が単独で主催する全国規模の商談会としては国内最大規模となる「全国ビジネス商談会」を開催し、取引先のビジネスチャンスの拡大を支援するなど、現場や地域のニーズに応じつつ、事業者の目線に立って各種サービスを提供している。また、日本政策金融公庫では、近年、民間金融機関をはじめ関係機関等と連携しつつ、全国152支店というネットワークを活用し、「地方版総合戦略」を策定する地方公共団体に対して、同戦略の策定とその推進に係る支援を行っており、地域社会に対する貢献も行っている。政策金融の機能を的確に発揮させ、政策目的を実現するためには、政府系金融機関の財務の健全性及び適正な業務運営が確保されていることが重要である。このため、財務省では、各政府系金融機関の業務の状況等について報告を求め、検査を的確に実施することにより、各政府系金融機関の財務状況や業務運営の適切性を正確に把握し、必要かつ適切な監督を行うこととしている。2． 民間金融機関との 連携・協調の推進政策金融の推進にあたって、地域における金融機能の高度化や成長資金の供給促進を図り、企業・経済の持続的成長等に貢献する観点から、政策金融と民間金融との連携・協調を促進することが重要である。このため、政府系金融機関と民間金融機関の間で業務提携・協力に関する覚書が締結され、協調融資を進めてきたところであるが、近年、積極的な取組の結果、協調融資の実績が伸びてきている（後掲記事にて詳述）。政府系金融機関を監督する財務省としても、政策金融と民間金融との連携・協調を促進するため、民間金融機関と関係省庁の意見交換を目的として「政策金融に関する関係省庁と民間金融機関との意見交換会＊5」を開催している。4 ファイナンス　2018 May