ファイナンス 2018年5月号 Vol.54 No.2
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います*5。他にはアスパラガスやメロン、かぼちゃ、スイートコーン、寒さを活かして作られる寒締め法蓮草などが栽培されています*6。教育分野では、日本最北の公立大学である名寄市立大学を有し、看護・栄養・保育・福祉に携わる人材育成や、リカレント教育を行う、「地(知)の拠点」となっています。また、市立天文台「きたすばる」は、国内2番目の大きさを誇る北海道大学の「ピリカ望遠鏡」による研究拠点となっているほか、澄んだ空気、人口灯の影響の少なさ等から天体観測の好スポットとしても知られます。市の北西部には最北の駐屯地であり精鋭部隊として知られる陸上自衛隊名寄駐屯地が立地し、市の人口や経済面に与える影響も大きく、雪祭りの雪像制作など各種行事でも活躍するなど、地域の要となっています*7。*5) たまたま筆者の生まれが伊勢市であることから、もち米のとりもつ縁を感じている、というフレーズが市内会合における自己紹介の「もちネタ」でした。*6) 糖度が13度(スイカ並み!)を超えることもあるなよろ星空雪見法蓮草は、日本野菜ソムリエ協会主催の品評会で最高金賞を受賞しました。*7) 赴任にあたっての挨拶廻りの際、北海道に所縁のある方以外で「ああ、あの名寄ね」と反応があった数少ない省内関係者が、主計局防衛係経験者でした。他には、市内博物館に国内で唯一現存する「SLキマロキ編成排雪列車」が展示されていることなどから、鉄道好きには密かに知られたまちのようです。*8) 現在はドイツ系品種のバッカス(白)と、山葡萄交配種の小公子(赤)を生産しています。「森臥」HP https://shinga-shinga.jimdo.com/*9) 平成31年現地醸造開始、平成32年販売開始を目指しています。ウ.財務省所管品目についていくつか「日本最北」のものを紹介してきましたが、所管品目であるお酒の関係について。近年、厳しい気候のもとでの試行錯誤を経て、市内の農家がワイン用のぶどうの栽培に成功し、岩見沢市のワイナリーに製造委託して、名寄産ぶどう100%のワインを販売しています*8。本年3月30日には、「日本最北のワイナリー創生・なよろワイン特区」として構造改革特別区域計画の認定を受けたところであり、現在、ワイナリーの設立と醸造に向けての準備を進めています*9。日本ワイン、北海道ワインが注目を集める中、日本最北のワインとして、また、地域の酒として、今後が期待されているところです。エ.人口減少の現状と課題北海道においては少子高齢化や札幌圏への一極集中が急速に進行していますが、いわゆる「増田レポート」名寄市立大学天文台雪に覆われた冬のぶどう畑ワインとぶどう畑寒暖差が生む甘みが特徴の農産物 ファイナンス 2018 May33地方創生の現場から【第1回】

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