ファイナンス 2018年5月号 Vol.54 No.2
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多様な地域資源を持つ北の拠点北海道名寄市参事監(企画担当) 松岡 将*2) 「なよろ」という地名はアイヌ語の「ナイ・オロ・プトゥ(川・のところ・の口)」に由来します。「なよせ」でも「なより」でもありません。なかなか初見で正しく読んでもらえませんが(筆者も読めませんでした)、これを機に、覚えて頂ければ幸いです*3) 筆者自身、駅近くの民間アパートを借りて住んでいましたが、必要に応じて公共交通を活用すれば、車がなくても日常生活において特に不便に感じることは無かったと思います。*4) 任期中には残念ながらマイナス30度超えはありませんでしたが、マイナス27度までは経験することができました。雪国の冬は暗いという先入観がありましたが、ここまで冷えるとかえって綺麗な青空が広がります。昨年末には吹雪の様子が全国ネットでニュースになりましたが、名寄であのような大荒れになることは多くはなく、普段は静かに粛々と降り積もっている印象です。また、よく言われるように、建物の中に入ってしまえば、本州より暖かく感じるくらいです。1 名寄市の概要ア.位置及び沿革北海道のエリア分けにはいくつかの区分がありますが、一般に道北地方というときには、北海道の北のてっぺんに位置する稚内市を中心とする「宗谷地方」、日本海側の留萌市を中心とする「留萌地方」、北海道のちょうど真ん中あたりに位置する旭川市を中心とする「上川地方」のうち塩狩峠以北のみ又は全体を合わせて、道北と呼称することが多いようです。名寄市は旭川から北に80キロ程度、上川地方北部の名寄盆地に位置し、東は雄武町・下川町、西は幌加内町、南は士別市、北は美深町と接しています。国内4番目の長さとなる長流河川の天塩川と、名寄川との合流点に市街地を形成、535.2平方キロメートルの行政面積を有しています*2。明治後期に現在の山形県鶴岡市からの団体入植にはじまり現在に至るまで、旭川以北における産業や鉄道などの交通の要衝として、周辺圏域の拠点的な都市として機能してきました。現在の市の人口は平成30年1月時点で2万8千人程度であり、減少が続いていますが、周辺圏域の中心地であることから郊外にはショッピングモールなど大型店舗が多く展開しているほか、道立サンピラーパークなどの広い公園があり、市立病院など医療機関も充実していることから、東洋経済新報社が実施している全都市「住みよさランキング」では例年北海道内の上位をキープしています(平成29年度道内35都市中3位)*3。イ.気候及び特産品、施設等立地道内屈指の積雪寒冷地域にあり、夏冬の寒暖差は60度、夏はひまわり畑などの風景、冬は「サンピラー現象」や、「シルキースノー(絹のようにキメ細かい天然雪)」の優れた雪質を活かしたスキーなどのウインタースポーツなどを楽しむことができます*4。特産品としては、もち米の作付面積が日本一となっており、三重県伊勢市の名物「赤福」をはじめとした製菓に使用されるなど、高い品質が全国的にも評価されて星マークの辺りが名寄市ですスキージャンプ台厳冬期などに太陽が柱状に見える「サンピラー現象」(市職員撮影)ひまわり畑32 ファイナンス 2018 May

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