ファイナンス 2018年5月号 Vol.54 No.2
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3 今後の展開ア.Project Aの課題に対する取組み場所が分かりにくく、販売商品の種類・絶対量の制約などから、売上高については伸び悩みであり、当初目標である地元産品のブランド化の実験店舗という性格が置き去りにされないよう、留意する必要があります。イ.Project Bの課題に対する取組み松林を維持して、松葉堆肥の増産や松露(日本版トリュフ)栽培に道筋を付けます。また、収益性がある事業を考えていくことが重要であり、中核人材を確保して法人化を実現することが課題です。ウ. Project Cの課題に対する取組みNPO法人 日ノ岬・アメリカ村が持続可能な活動を行っていくことが最大の課題で、レストラン等の売上確保策を早急に策定する必要があります。レストランはカナダ風にする方向で検討中ですが、中心となる調理人の確保やメニュー作りが急がれます。今回、地方創生業務に従事して、ドロドロした部分や現地での軋轢などを経験しましたが、それらを数倍も上回るやりがいや住民との絆を体感することができ、美浜町での勤務は、かけがえのない日々となりました。住民全員が賛成する地方創生は現実的には難しく、時には、役場内でのコンセンサスを得ることなく、事後承諾で物事を進めていく必要もあるため、ある意味、孤独との戦いの部分もありましたが、活性化の姿が見えてくると、理解者も増えてくるというのが地方創生の特色です。何もしなければ失敗はありませんが、未来もありません。地方創生の途はまだ途上ですが、人々の志や住民の絆は捨てたものではなく、それぞれの地域に合った地方創生策を試行錯誤しながら進めていくことにより、これからの明るい未来が待っていると信じ、本稿がそれらに貢献することを期待します。(注) 本年3月末に美浜町役場での任期を終了し、現在、ふれあいと健康と起業のまち創生協議会事務局長として、Project Bのお手伝いをしております。 ファイナンス 2018 May31地方創生の現場から【第1回】

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