ファイナンス 2018年5月号 Vol.54 No.2
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市場の盛り上がりにジョージア国立銀行の担当者も大喜びしている。この銀貨幣は直径33ミリ、量目15.5グラムであり、日本で近年発行されている銀貨幣(直径40ミリ、量目31.1グラム)に比べて小振りであるが、この狭い面積の中に精緻なデザインを組み込んだ美しい仕上がりが、ジョージアで人気を得た理由の一つではないかと考えている。4最後に邦貨とは異なる仕様の貨幣の製造にチャレンジすることは、貨幣の製造技術やデザイン力の維持・向上、改鋳を含む様々な要請への対応力の強化に資するものである。そのため造幣局では、邦貨の製造等に支障のない範囲内で、外国貨幣の製造受注に取り組んでいる。実際、ジョージア貨幣の製造においても、普段邦貨を製造する中では得られ難い経験や発見があり、各担当部署に良い刺激をもたらしている。また、外国貨幣を製造・納品するにあたっては、発注国側から寄せられる様々な要望に対処していく必要があるが、こうした経験の積み重ねが、邦貨の製造においても、財務省、そしてその先にある国民の皆様からの種々の要望への対応力の強化につながるものと考えている。今後も、外国貨幣を製造する機会を得られれば、その任務を完遂するとともに、そこで得られた経験等を、邦貨の製造にも活かしていきたいと考えている。造幣局本局(大阪市)及びさいたま支局に併設されている造幣博物館並びに広島支局の展示室では、造幣局が製造した邦貨及び外国貨幣のほか、大判、小判や勲章等、様々な展示を行っているので、興味のある方はぜひ足をお運びいただきたい。左から百嶋前造幣局理事長、ジョージア国立銀行の担当課長Nana Koberidze氏及び筆者 ファイナンス 2018 May27

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