ファイナンス 2018年5月号 Vol.54 No.2
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さて、20テトリ貨幣を組み込んだ貨幣セットの販売については平成28年11月に報道発表を行い、主に通信販売で販売を行った。本稿をお読みになり、この貨幣セットに興味を持っていただいた方には大変残念であるが、販売数量は限定3万セットであり、販売開始当初から購入を希望される方が多く、既に完売している。3ジョージアワイン記念銀貨幣20テトリ貨幣の製造を受注してから1年後の平成29年1月、今度は記念銀貨幣1,500枚の製造をジョージア国立銀行から受注した。この銀貨幣は、2017年7月にフランス・ボルドーにあるワインの総合施設「シテ・デュ・ヴァン」にて、ジョージアの政府及び国立博物館の後援により、ジョージアワインに関する特別展示が開催されることを記念して発行されたものである。貨幣の裏面に描かれているのは、この会場施設の曲面を多用したユニークな建物外観である。ジョージアのワイン造りは実に8千年もの歴史があり、世界最古とも言われている。地中に埋められた、クヴェヴリと呼ばれる大きな素焼きの壺を用いる独特なワインの製法は、日本の「和食」と同じ2013年にユネスコの無形文化遺産に認定されている。なお、日本固有のワイン用ブドウ品種である「甲州」も、DNA解析の結果、そのルーツはジョージアの位置す*3) 独立行政法人酒類総合研究所理事長を務める後藤奈美氏の研究成果であり、同研究所広報誌「エヌリブ」第27号にその概要が掲載されている。るコーカサス地方にあり、はるばるシルクロードをたどってやってきたものと推定されている*3。ジョージアワインに興味を持たれた方は、ワインには珍しい陶器製のボトルに入ったものなども日本で比較的安価に入手できるようなので、ぜひお試しいただきたい。さて、貨幣の表面には、ブドウの木とクヴェヴリが描かれている。クヴェヴリの箇所はカラー印刷が施されており、赤ワインの色も鮮やかに表現されている。他方、ブドウの木は、房の部分まで細かい彫刻が施されている。この銀貨幣は、製造した1,500枚を全てジョージア国立銀行に納品しており、残念ながら日本での販売は行われなかった。なお、ジョージア国立銀行で2017年7月に販売を開始したところ、2か月で完売している。これはジョージアでは異例の速さであり、二次市場でも好評を博しているとのことで、同国の貨幣収集(裏面)(表面)ジョージアワイン記念銀貨幣のデザイン百嶋造幣局理事長(当時)からレヴァン・ツィンツァゼ駐日ジョージア全権特命大使への貨幣セットの贈呈26 ファイナンス 2018 May

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