ファイナンス 2018年4月号 Vol.54 No.1
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コラム 経済トレンド46前大臣官房総合政策課 平野 龍介/藤村 敏朗/大澤 秀暁最近の不動産市場について2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた関連施設の整備が進むとともに、大規模再開発によるオフィスビル等の開発が進む不動産市場について分析を行った。不動産市場の動向・建築物の着工件数は、住居系・非住居系ともにリーマンショック後の2009年をボトムとして、以降は均してみると緩やかに増加してきている(図表1)。・全国の土地価格は、2009年以降、長らく前年比マイナスが続いていたが、東京圏等の都市部を中心に土地需要が増加したこと等を受けて、2016年に8年ぶりに前年比プラスとなった(図表2)。・不動産業への銀行貸出は、貸出金利の低下も相まって近年顕著に増加しており、堅調な不動産市場を下支えしている(図表3)。図表1 着工件数の推移68101214455055606506081012141617住居系非住居系(右軸)(万棟)(年)(万棟)図表2 土地価格の推移▲10▲5051006081012141617全国平均東京圏地方圏(前年比、%)(年)図表3 貸出残高と金利水準0.60.81.01.21.41.61.8809010011012013014006081012141617総貸出不動産業新規約定金利(右軸)(2006年=100)(%)(年)住宅・商業用ともに取引価格は上昇・住宅用不動産を見ると、戸建住宅価格はおおむね横ばい圏で推移している一方、建築資材価格や人件費の上昇等を背景として区分所有マンションの価格が顕著に上昇している(図表4)。・一方の商業用不動産を見ると、工場などの値上がりは一定範囲内に収まるものの、店舗やオフィス、マンション・アパート等で価格の上昇がみられる(図表5)。この背景には、空室率の改善や平均賃料の上昇等が考えられるが、それらに加えて投資マネーの流入の影響もあると考えられる。図表4 住宅用不動産価格指数の推移809010011012013014008091011121314151617住宅総合戸建住宅マンション(区分所有)(2010年=100)(年)図表5 商業用不動産価格指数の推移809010011012013014008091011121314151617商業用不動産総合店舗オフィス工場マンション・アパート(一棟)(2010年=100)(年)42 ファイナンス 2018 Apr.連 載 ■ 経済トレンド

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