ファイナンス 2018年4月号 Vol.54 No.1
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おります。東南アジアだけでなくアフリカからもブラジルからも来ております。日本のものづくりはそれだけ価値があります。インバウンド構想を海外のテックプランターでプレゼンすると、「ぜひ日本に来たい。作ってほしい。作れればフィリピンの課題は解決できる」と言ってきます。また、逆に日本のベンチャー企業をフィリピンに連れて行っております。先ほどもお話ししたチャレナジーという台風発電のベンチャー企業をフィリピンに連れて行って、発電装置の設置場所を決めてきました。来年にはフィリピンに第一号機の台風発電装置ができることになるかと思います。毎年のように台風に襲われるフィリピンは、たくさんの島々からできている国です。電力供給については、ディーゼル発電に頼っている島も多くあり、発電コストも環境負荷も高く、電力供給が十分行き届かないなどの課題を抱えております。台風は被害が大きい反面、莫大なエネルギーを持っています。台風発電を通じてフィリピンの無電化地域を解消していくのです。フィリピンがクリーンエネルギーにシフトしていくことは地球環境を守ることにもなります。日本の技術をフィリピンの社会課題の解決のために使ってほしい、使ってもらわないと日本のベンチャーは大きくなれないのです。5. 終わりに: 「場」を創り、プレーヤーであれご質問としていただいていた「他の組織と連携を強めていく上で必要なこと」については、先ず組織という壁を越えて、何が課題で、何をすべきかを見極めて、そして自分自身が参加者としてではなく、リーダーとしてやるかどうか、これだけです。今年1年でコミュニティとかイベントといったものが嫌な言葉になってくるのではないかと思います。「イベント疲れ」「コミュニティ疲れ」という言葉が蔓延してきます。私たちはイベントもコミュニティも作っていません。「場」を作っています。「場」にはサポーターはおりません。私もプレーヤーです。台風発電の実現に向けてプレーヤーとしてフィリピン政府と本気で向き合っております。自分がリーダーとなって動く、これが「場」です。きちんと「場」を作れば日本はやっていけます。ものごとが動いていきます。ご清聴ありがとうございました。(研修部注:平成29年8月4日開催の夏季職員トップセミナーに浜野製作所の浜野慶一代表取締役CEOを講師として招聘。講演内容については「ファイナンス」2017年11月号に掲載)講師略歴丸 幸弘株式会社リバネス代表取締役CEO1978年神奈川県横浜市生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。東京大学大学院在学中の2002年6月に理工系大学生・大学院生のみでリバネスを設立。日本で初めて「最先端科学の出前実験教室」をビジネス化。大学や企業に眠る経営資源や技術を発掘し、それらを組み合わせて新事業のタネを生み出す「知識製造業」を営み、世界の知を集めるインフラ「知識プラットフォーム」を通じて、200以上のプロジェクトを進行させる。多数のベンチャー企業の立ち上げにも携わるイノベーター。著書として『世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。』や『ミライを変えるものづくりベンチャーのはじめ方』。 ファイナンス 2018 Apr.41連 載 ■ セミナー

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