ファイナンス 2018年4月号 Vol.54 No.1
23/72

●民間企業との連携技術協力への評価は、対象国の税関だけでなく、海外事業を展開している日系企業から得られる場合もあります。例えば、途上国税関でのニセモノ製品の取締りがなかなか上手く機能していない中、被害を被っている知的財産権の権利者から、日本国税関による技術支援により、輸出入時の関連制度や手続の整備に加え、それらの着実な実施が期待され、効果的な対策が図れるようになるとの好感が示されています。この場合、権利者の協力により、対象国の税関に対し、密輸手口にかかる情報提供や真贋判定方法を教える機会を設けたり、また、対象国の税関に権利者が相談できる窓口を開設してもらうなど、官民で足並みを揃えたアプローチが行えることも特徴となっています。●WCOの認定研修機関に関税技術協力への長年の努力が認知されたこともあり、当研修所は、平成16年(2004年)に「WCO地域研修センター」(注)として認定を受け、以来、アジア大洋州地域のWCO加盟国の税関職員を対象に、効果的な密輸対策等地域のニーズに即したワークショップ等を開催しています。また、当研修所は、当該地域で最初に認定を受けた研修所として、WCOアジア大洋州地域研修センター長会議等の議論にも積極的に参画し、当該地域の人材育成・能力構築において中心的な役割を担ってきています。具体例として、他の地域研修センター向けに、当研修所の経験を踏まえ、研修運営手法を紹介する冊子を作成・配布したり、ワークショップを実施した効果の評価方法に係る議論を主導し、評価メカニズムを定着させるなど、研修分野での技術支援をリードする立場として、精力的に活動を展開しています。注: WCO地域研修センターは、WCO加入国の税関職員に対する研修を行なう研修センターで、世界に26ヵ所(アジア大洋州地域には7ヵ所(日本、中国、フィジー、香港、インド、韓国、マレーシア))が設けられている。多国間による関税協力会議の模様二国間の関税局長・長官会談の模様税関研修所正面玄関に掲げているWCO地域研修センターの表示 ファイナンス 2018 Apr.19

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る